【試乗】ジムニーノマドはファミリーでの日常使用もあり! 圧倒的な悪路走破性はそのままに快適性と便利さマシマシだった (2/2ページ)

あくまで「ジムニーのまま」快適性や利便性だけ高めた!

 一般道では5速MT車に乗り換えた。1速から5速までのギヤは想像していたほどローギヤードではなく、市街地でも扱いやすい。発進には基本的に1速を使う必要があるが、流れに乗れば早めに上のギヤを選択できる。高速巡航時のエンジン回転も極端に高いわけではなく、5速MT車の日常性は十分に確保されている。5速は0.666というオーバードライブのギヤ比が採用され、時速50km/hでのエンジン回転は1500回転。時速100km/hでは3000回転となる。4速ATも4速ギヤはオーバードライブで100km/h巡航は3030回転と、5速MTとほとんど同じだ。

ジムニーノマドのMTレバー

 何より印象的なのは、舗装路でも静かで快適なことだ。ラダーフレームに前後リジッドアクスルという構成から想像する粗野な感触はない。荒れた舗装や補修跡を通過すると、重いアクスルが動くことによる多少の揺すられ感は出る。それでも入力は角が丸められ、車体に不快な振動や軋み音を残さない。

ジムニーノマドの舗装路走行シーン

 ステアリングは操舵力がやや重く、ギヤ比もロックtoロックで3.5回転とスローだ。現代の流行りであるラック&ピニオンを使わず、ボールスクリュー式として路面からのキックバックを抑える設定は悪路で大きな安心感につながる一方、市街地での切り返しやUターンでは多くの操舵量を必要とする。さらに、最小回転半径は5.7mと車体寸法に対して大きめ。これはリジッドアクスルによるナックル構造による制限と悪路での耐久性を優先した結果であり、ジムニーがジムニーであり続けるための割り切りともいえる。

ジムニーノマドのインストゥルメントパネル

 1.5リッター自然吸気エンジンは、車体を強烈に加速させるほどの余裕はない。乗員や荷物を積んだ登坂路では、もう少しトルクが欲しいと感じる場面もあるだろう。しかし、ターボ化や電動化は重量や価格、冷却性能、アクセル操作に対する応答特性にも影響する。低速域で駆動力を細かく扱うことが求められるジムニーには、自然吸気エンジンならではの素直さにも価値がある。

ジムニーノマドのエンジンルーム

 ノマド最大の魅力は、当然ながらリヤドアと実用的な後席を得たことだ。後席ヒップポイントはジムニーシエラより50mm後方へ移され、左右乗員の着座間隔も90mm拡大された。4人乗りに割り切ったことで、後席には大人2名が無理なく座れる空間が確保されている。

ジムニーノマドのリヤシート

 リヤシートには1段階だがリクライニング機構が備わり、背もたれ角度を変えるだけでも着座姿勢は大幅にラクになる。室内の静粛性向上も後席の快適性に効いており長距離移動にも十分使えそうだ。

片側だけリクライニングしたジムニーノマドのリヤシート

 一方、後席用の空調吹き出し口や専用ドリンクホルダーなどは備わらない。前席中心だったジムニーの基本設計を受け継がざるを得ない部分であり、ファミリーカーとして見れば改善の余地は残る。

 荷室容量は4名乗車時で211リットル、荷室床面長は590mmを確保する。後席は5対5分割可倒式で、片側だけを倒して長尺物を積むことも可能だ。3ドアのジムニーシエラでは難しかった「4人で乗り、全員分の荷物も積む」という使い方が、ノマドでは現実的になった。

ジムニーノマドのラゲッジ

 安全装備も大きく進化した。衝突被害軽減ブレーキにはデュアルセンサーブレーキサポートIIを採用し、車線逸脱抑制機能を標準装備する。アダプティブクルーズコントロールは4速AT車が全車速追従機能付き、5速MT車は30km/h以上で追従走行が可能だ。9インチHDディスプレイを用いたバックアイカメラ付ディスプレイオーディオとスズキコネクト対応通信機もメーカーオプションで選択できる。

ジムニーノマドのカメラ部

 メーカー希望小売価格は5速MT車、4速AT車ともに292万6000円。先進安全装備と快適性を高めながら、300万円を下まわる価格に抑えている点はスズキらしい極めて大きな魅力だ。

 ジムニーノマドは5ドア化によってユーザー層を広げたが、ラダーフレーム、リジッドアクスル、副変速機付パートタイム4WDという核は変えていない。乗用車的な便利さを得るためにジムニーらしさを薄めるのではなく、ジムニーのまま日常性を引き上げたのである。

ジムニーシリーズと中谷明彦さん

 悪路では市販状態のままで驚くほど高い走破性を示し、舗装路では従来の本格四輪駆動車というイメージを覆す静かさと快適性を見せた。最小回転半径や操舵量、動力性能などに固有の癖は残るが、それらを含めても今回の一部仕様変更モデルは完成度が高い。長く待ってでも手に入れたいと考えるユーザーが多い理由を、実際の走りが明確に証明していた。

ジムニーノマドのオフロード&オンロード試乗会


この記事の画像ギャラリー

中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2026-2027日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
JEEPラングラーPHEV
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

新着情報