マルチパスウェイ戦略の本気が表れている
レクサスESが期待できる国のCEV補助金は130万円。つまり、EVのエントリーグレードの価格は実質660万円となるし、前後にモーターを積む最上級グレードでも790万円となる。そう、ハイパフォーマンスなES500eも、補助金を前提にするとES350hと同等のコストで手に入るのだ。さらに地方自治体の補助金を考慮すると、EV版のコスパは際立ってくる。よほど長距離移動を頻繫に行うユーザーでもない限り、ハイブリッドのES350hという選択は優先順位が下がるだろう。
もちろん、こうした主張に対しては「補助金でブーストしているだけだ」と批判も出てくるが、補助金がなかったとしてもレクサスESのエントリーグレードは、パワートレインを問わずに790万円の同価格であることは前述のとおり。
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現在のガソリン補助金が終了すれば、ガソリン価格は200円/Lを超えるといわれている昨今において、ランニングコストを抑えられるEVを選ぶことには一定の経済合理性がある。レクサスESのように、EVがハイブリッドカーと同価格なのであれば、なおさらだ。
だからこそ、“いま”という時代感において、レクサスESの価格設定は非常に意味がある。レクサスESは「EVはエンジン車より高い」という時代の終わりの始まりといえるのだ。
おそらく、コストを積み上げていったら、たまたま同じ価格になったということではない。ハイブリッドカーとEVで同価格に設定したことは、非常に戦略的といえる。とはいえ、EVを赤字覚悟でハイブリッドカーと同価格にするほどの戦略的値付けをするとは考えづらい。EVのコストがハイブリッドカー並みに下がった、もしくはハイブリッドカーのコストがEV同等に上がってきたと捉えるべきだ。
ともすれば、レクサスを含めたトヨタの「マルチパスウェイ戦略」はエンジンを使い続ける経営戦略と理解されがちだが、マルチパスウェイの基本理念は「カーボンニュートラルの実現に向けて、地域やユーザーの現実に合わせた多様な選択肢を提供する」ことであり、その選択肢の中心にEVがいることは変わっていない。
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あるユーザーにとっての最適解がEVだとしたら、EVを高価に設定しておくことは選択肢から外してしまうことであり、マルチパスウェイ戦略の理念からは外れてしまう。
レクサスESにおいて、ハイブリッドカーとEVのスターティングプライスを同一にしたというのは、まさしくマルチパスウェイ戦略の矜持であり、それを実現できるだけ電動化に対する開発・調達・製造コストを抑えることを実現したことを、レクサスESの価格設定は示している。トヨタ、恐るべしだ。