名もなきメーカーが数年で世界を驚かせた
また、当時の米国では電磁石を使う誘導モーターがコンバートEVなどに広く利用されており、これをモデルSも採用した。いま起きているレアアースの入手にまつわる課題とは無縁のモーターだ。汎用バッテリーや家庭電化製品などを含め広く利用されてきた誘導モーターの採用により、モデルSはEVを手ごろな価格で普及させることが可能であると世界を驚かせた。
さらに、充電こそEVに不可欠な要素であり、普通充電と急速充電の両方で、テスラは独自の方式を採り入れ、プラグ・アンド・チャージ(コンセントにコネクターを差し込むだけで充電できる)の環境をもたらした。
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日本では、急速充電のCHAdeMO規格に適合できるアダプターを用意した。そのために、イーロン・マスクは周到に日本を訪れている。テスラが、EVの最先端で、独創に富み、しかもその技術や手法は、世界に通じる汎用性を備えている。いまも世界の手本であり続けているのは、こうした背景がある。
テスラがモデルSの次に手がけたのがSUVのモデルXだ。基本はモデルSと同様で、その後の進化を採り入れている。モデルXの特徴となるのが、後席用ドアのファルコンウイングと名付けた跳ね上げ式の開閉だ。見かけの派手さを狙ったというより、3列目の座席への乗降に際して2列目の座席を操作することなく乗り降りできる利便性を考えてのことだ。
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跳ね上げ式ドアは、ドアを開けたとき横へのはみだしが少なく、狭い場所での乗降を容易にする利点もある。モデルXはモデルSよりさらに大柄な車体だが、利便性を第一とした機能を重視するSUVなのである。テスラはEV専用車として注目されがちだが、じつはクルマとしての本質を根本から追求し、かつ過去の事例に捕らわれず、使う人の身になって考え抜かれたEVなのである。