走っているからこそわかるAXCRの裏話
まさに大冒険といえるAXCRであるが、せっかくなのでいくつか質問を。
筆者からは、「今回のAXCRは過酷だったと聞きますが、競技中で思い出に残ってることや、誰かに話したくなるような裏話など、競技に関係あるなしかかわらずありませんか?」と聞いてみた。
増岡総監督は、「ドライバーたちが出走しているコースを追ったり、指定の場所に向かったりする際にリフトアップしてカスタムしたデリカD:5が私用に用意されているんですね。これでタイを駆けまわったことが意外と楽しくて、いい思い出になってますね。景色もいいんですよ。あと2日目は大激戦だったので、見てて楽しかったですね」と、運営側目線での感想を語った。
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田口選手は「難しい質問ですね〜(笑)……まあ競技以外でいえば、朝飯にお粥が出たりスイカが出たりしたのが結構よかったですね。あと、毎回その日のリザルトが夜8時過ぎに出るんですけど、それを見て一喜一憂するのも楽しかったですね。あとは、『このコーナーはこう攻めたい!』と思って進入したら、思いどおりに駆け抜けられた。これも気分いいですよね。こんなシーンが何度かありました」と、AXCRの思い出を話してくれた。
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保井選手は、「私にとってこのAXCRにおけるコ・ドライバーの師匠が、ピーラポン・ソムバットウォン選手(101号車)なんですね。彼はこのAXCRで7連覇を達成している大ベテランです。私がAXCRに初参戦したとき、泣きたくなるくらい訳わからないタイのジャングルの攻略方法などを教えてくれた彼が、総合優勝が決まった瞬間、誰よりも早く私のもとに来て握手で祝福してくれたんです。これがいい思い出ですね」と、当時を振り返った。
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と、このように道なき道を駆けまわる、まさに大冒険なAXCRだが、こんなにも訳のわからないコースをどのように見わけているのだろうか?
コ・ドライバーの保井選手がこのとき、貴重なペースノートを見せてくれた。これは大会主催者から事前に配られ、前日に主催者がこのコースを走って、コース状況(増水や土砂崩れで通れないなど)を教えてくれるそう。なので、状況は前日までわからないどころか、当日スコールなどが降ればまた全然変わるので参考程度にしかならないという。コ・ドライバーの気が全然休まらないというのは、こういうところにある。
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マップは全チーム共通だが、かなり簡易的に建物(目印)や道が書かれているだけで、素人の筆者が見せてもらったところで、なにがなんだかわからない。しかし、このマップどおりに走らないと次のコースに繋がらないそうで、「あれ、この交差点全然出てこなくない?」となれば、ひたすらそこまで戻らないといけないそうだ。これがいわゆるミスコースで、何度も起こるという。
しかも、携帯の電波などが繋がらないエリアも多いので、迷子になってゴールも抜けられずチームテントにも帰れず、道中の村で一泊するようなチームも珍しくないそう。ちなみに競技中はずっと走りっぱなしだが、制限速度がある区間もあるので、そういったタイミングで軽食を食べながら走るそうだ。
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「これだけ道がめちゃめちゃなのだから、ぶっちゃけテキトーに走ってチェッカーを無理矢理受ければいいのでは?」とも思ったが、これに対して保井選手は、「と、思うじゃないですか? これ、GPSで各車の動きを見ているんで、多少ならまだしも、明らかなミスコースなどはペナルティなので、適当に走ってゴールしても勝てないんです」と、「そりゃそっか」な返答を貰った。チームの話を聞いていると、仮に「お前、AXCRに来年出てこい」といわれても、即答で「無理ですね」と答えたくなるくらい過酷そうだ。見知らぬ国のジャングルで遭難なんかした日には、たまったものではない。保井選手の「生きた気がしない」というのも、話を聞いて納得だ。
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なお、田口選手と保井選手以外の2台のトライトンは、道中のメカトラブルなどにより順位を大きく下げてしまった。
さて、そんな輝かしい成績で幕を閉じた「チーム三菱ラリーアート」によるAXCRであるが、2027年の参戦もすでに構想中な様子。増岡総監督は「来年はですね……いよいよ話題の”アレ”での参戦を企てているので、本体(三菱自動車)から正式なOKが出ればぜひトライして、連覇したいですね」と我々に意味深な発言をしてこの会を締めた。
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三菱で話題の”アレ”、そしてラリーとなればやはりパリダカでお馴染みの……パジェロだろう! 今後の「チーム三菱ラリーアート」からも目が離せそうにない。
AXCR2026四輪部門:「チーム三菱ラリーアート」総合成績
1位:田口勝彦選手/保井隆宏選手(三菱・トライトン) 12時間58分20秒
27位:小出一登選手/千葉栄二選手(三菱・トライトン) 20時間58分30秒
36位:チャヤポン・ヨーター選手/ピーラポン・ソムバットウォン選手(三菱・トライトン) 34時間48分43秒