将来手の届かない「雲上プライス」に! いずれ伝説となる現行エンジン車3選 (2/2ページ)

“大ヒットモデル=伝説”とは限らない

スズキ・ジムニー/ジムニー シエラ(JB64/JB74型)
伝説化の可能性:高い

 2018年の登場から長い年月が経過した今なお、衰え知らずの人気を誇るスズキ ジムニーおよびジムニー シエラ。この小さなオフローダーもまた、10年後の伝説化がほぼ確定している1台だ。

 現代のSUVがモノコック構造と電子制御AWDによる「乗用車的快適性」へと雪崩を打つなか、ジムニーは頑強なラダーフレームとリジッドアクスル式サスペンション、そして機械式のパートタイム4WDという「ガチの四駆構造」を、頑なに守り続けている。

 世界中を見渡しても、過酷な泥道や岩場、豪雪地帯をものともせず走破し、なおかつ日本の軽自動車枠(あるいはコンパクト枠)に収まる本格オフローダーなど、ほかにいっさい存在しない。

 歩行者保護や先進安全装備、騒音規制といった現代の厳しい法規制をクリアしながら、これほど無骨で純粋なオフロードメカニズムを維持し続けたこと自体が奇跡に近いのかもしれない。だが10年後、たとえ電動化された次世代ジムニーが登場していたとしても、機械式メカニズムの塊であるJB64/JB74型の道具感と信頼性は、世界中のエンスーやプロフェッショナルたちから「孤高の名作オフローダー」として敬愛され続けるはずだ。

4. ホンダN-BOX
伝説化の可能性:やや低い(ただし「生活の殿堂入り」)

 一方で、少々冷静な目を向けねばならないのが、日本でもっとも売れている軽自動車であるホンダ N-BOXだろう。現行型(JF5/6型)もまた、先代から培った圧倒的なパッケージング技術と上質な内外装の設え、そして普通乗用車をも凌駕する実用性により、軽スーパーハイトワゴン市場の絶対王者として君臨している。日本の自動車史に刻まれる「生活の道具としての最高傑作」であることは論をまたない。

 だが、「時代を代表する大ヒット作」であることと、「10年後に伝説として語り継がれること」の間には、越えがたい溝が存在する。

 10年後に伝説化・神格化されるクルマには、他を寄せ付けない圧倒的な動力性能や、唯一無二のハードウェア的特異点、あるいは「内燃機関の終焉に伴って二度と作れなくなる失われた技術」などの要素が不可欠だ。その点、N-BOXの価値は「時代の先端を行く徹底的な実用合理性」にあり、それは次世代の新型や汎用的なEVが登場すれば順当にアップデートされ、上書きされていく宿命にある。

 10年後、中古車市場で「あのころのN-BOXでなければダメなんだ!」と熱狂的なマニアが血眼になって探すような、いわゆるコレクターズアイテムになるかといわれれば、そこは否と答えるのが筋というものだろう。

 10年という歳月は、自動車の価値をふるいにかけるには十分すぎる時間だ。流行や販売台数といった一過性の数字は10年もすれば風化し、最後に残るのは「そのクルマでしか味わえない絶対的な体験」と「時代の転換期に放たれた強烈なオリジナリティ」だけである。

 GR86/BRZが提示した手の届くピュアFRの歓びや、シビックタイプRが極めた前輪駆動の真髄。そしてジムニーが貫いた本物の悪路走破性。これらはいずれも、10年後の世界では新車として手に入れることがおそらくはきわめて困難な、今の時代が生み落とした「奇跡の結晶」たちである。

合理性が支配する未来が近づいているからこそ、そうした結晶の放つ熱量は、10年後の路上でますます眩しく感じられるはずなのだ。


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伊達軍曹 DATE GUNSO

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