世界展開を見据えたからこその左ハンドル
<「左ハンドルのまま」で終わらない量産に至るまでのローカライズ工程>
とはいえ、コンセプトカーが左ハンドルだったからといって、市販されるときの日本仕様まで左ハンドルのままになるわけではない。量産車では、販売する国や地域に応じて右ハンドル仕様と左ハンドル仕様を作りわける。前述のようにステアリングだけでなく、そのほかの部分も左右仕様に合わせて設計されるため、それなりの開発工程は必要になる。しかし、それは量産車として販売する段階で行われるものであり、コンセプトカーの展示仕様とは別の話だ。
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つまり、会場で目にするコンセプトカーの左ハンドルは、必ずしも日本市場を軽視していることを意味しない。むしろ、グローバル展開を前提とした開発や、展示車の製作効率を反映した結果である。
<「Honda 0」でも見られた世界展開の予兆>
この傾向を象徴するのが、ホンダが2025年1月に米国ラスベガスで開催された「CES 2025」で世界初公開した次世代EV「Honda 0 SALOON」と「Honda 0 SUV」のプロトタイプだ。ちなみに、メーカーによって線引きが曖昧なこともあるが、一般的な使いわけとして、コンセプトカーは技術やデザインの方向性を示す提案的な試作車であるのに対し、プロトタイプはスタイリングや動力性能、安全性などが限りなく量産状態に近い試作車を指している。
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ホンダ公式サイトによれば、これらは2026年の北米市場への投入を皮切りにグローバル展開を見据えて開発されたプロトタイプ。「Honda 0 SALOON」は2024年のCESで公開されたコンセプトカーから進化し、量産を前提としたモデルとして開発が進められていた。
そのあと、2025年10月のジャパンモビリティショーでは、あらためてホンダの公式区分で「Honda 0 SALOON」と「Honda 0 SUV」が「ジャパンプレミア」として展示、さらには「Honda 0 α」がワールドプレミアされた。世界初公開の場は米国、日本での披露はそのあとという順序だった。そのあと、これらのモデル自体はEVを取り巻く事業環境の変化や収益性の悪化などを理由に開発・発売中止となってしまったが……。
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ともあれ、こうしたグローバル展開を前提としたコンセプトカーであれば、日本での展示のためだけに右ハンドル仕様を別途用意する必然性は薄い。次にモーターショーなどでコンセプトカーを見る機会があれば、ハンドルの位置だけでなく、「このクルマはどこで開発され、どの市場を想定しているのか」「量産設計にどこまで近づいているのか」にも注目してみてほしい。そうすれば、会場に並ぶ「左ハンドルの未来車」が、単なる展示仕様ではなく、自動車メーカーのグローバル戦略を映し出す存在であることが見えてくるはずだ。