GR86のレース車両に「AT」が登場! プロ3名がMT車とガチ混走テストをしてわかった“1.5秒のタイム差”の中身 (2/2ページ)

ATの登場はGR86/BRZ Cupに柔軟性をもたらす

 しかし実際には問題なかったと、3人のドライバーは声を揃えた。堤選手は「車重もエンジンブレーキも不利なのでブレーキングで厳しいと思っていたんですが、問題はなかったですね。むしろ加速するとき、アクセルを踏み込んだときに反応が遅れるので、ATの後ろをMTが走っていたら注意が必要かもしれない」という。

 ブレーキングでは問題なかった。しかし、新たに加速の場面が気になったようだ。コーナーを立ち上がるときに、ATではワンテンポ遅れて加速が始まることがある。もし真後ろのMTがフル加速で立ち上がろうとすると、頭を抑えられる感じになってしまう。

 ただ、これはATであることを明示すれば大きな問題ではないだろう。

 MTとATのタイム差は、菅波選手がアタックを担当した。気になるラップタイムの差は、約1.5秒だった。その差を大きいと思うか? 意外に小さいと思うか? 今年9月5日に開催された富士大会の予選結果で参照すれば、1.5秒遅れは31位相当となる。ポールポジションから1秒以内に24台という僅差のなかでは、仕方ないことだろう。

「コーナーの速さはほとんど変わらず、進入でもスムースに入っていけますね。ただギヤレシオの差もあって、ATは加速がよくないですね。クロスレシオになれば改善すると思うんですけど」と菅波選手。

 ファイナルまで含めたオーバーオールのギヤレシオで見ても、ATのほうがハイギヤードな設定となっている。MTの5速よりもATの4速のほうがギヤが高い。つまりATのほうが加速で不利となる場合がある。そう考えると、約1.5秒の差は加速シーンで発生していて、運動性能の部分では大きく影響していないようだ。

 ATのギヤレシオが優位に働く部分もある。「MTだと、たとえばダンロップコーナーの先、ステアリングを切り返しながら3速に、となるんですが、このATの場合は2速のままで加速できますね。ATは乗り味がよかったり、運転のしやすさだったり、運転に集中しやすい、というのはメリットだと思います」と冨林選手はいう。

 それ以外にも、ATモデルのメリットは、トランスミッションのメンテナンスがラクになること。MTモデルではクラッチはもちろん、シンクロ交換などが定期的に必要になってくる。パーツ代金はそう高額ではないが工賃が高くなる。自分でメンテナンスできない場合、負担は小さくないのだ。ATであれば、オイルさえ定期的に交換していれば、大きなトラブルにはつながらない。この差は小さくないはずだ。

 テスト前に少し不安そうだった3人のドライバーたちは、実際に走らせてみて不安が解消し、むしろATのポテンシャルを感じたように見えた。冨林選手は「86らしさ、ドライビングの楽しさはありますし、ATで十分に楽しめると思います」とコメントしてくれた。

 市販車だけでなく、レースの世界でも、もはや2ペダルが主流だ。むしろ、GR86/BRZ Cupが3ペダルなのが個性的!  といったほうがいいだろう。ATの登場は、すそ野を拡げるに留まらず、GR86/BRZ Cupに柔軟性をもたらすに違いない。

※『GR86 Cup Car Basic』6速ATモデルのテスト動画はコチラ


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