「骨組みだけ」でドコへいく? 運転席とタイヤだけで公道を走る新車トラックの正体

この記事をまとめると

■トラックメーカーは「キャブ付きシャシー」というものを手掛けている

■後ろに載せるモノは数多あるのでそれぞれ専門の業者が架装する

■トラックは「走る部分」と「働く部分」を別々に作るほうが効率がいい

中途半端な形のトラックの正体

 高速道路や幹線道路で、真新しいトラックなのに荷台が付いておらず、運転席とフレーム、タイヤだけのような姿で走っている車両を見かけることがないだろうか。事故車や整備途中のクルマにも見えるが、多くの場合は、これから荷台を取り付ける新車である。トラックは乗用車と違い、メーカーの工場を出た時点では完成形ではないことが多い。

 トラックメーカーが製造する基本部分は、「キャブ付きシャシー」と呼ばれる。キャブは運転席部分、シャシーはエンジンやフレーム、サスペンション、車軸、タイヤなど、走行に必要な部分を指す。つまり、自力で走るための機能はすでに備えているが、荷物を載せるためのボディはまだ付いていない状態だ。

 なぜ最初から荷台まで取り付けないのか。その理由は、トラックの用途があまりにも多いからだ。同じ車種でも、宅配便に使うならアルミバン、食品輸送なら冷凍・冷蔵バン、建設現場ならダンプ、機械を運ぶなら平ボディ、液体を運ぶならタンクローリー、クルマを運搬するならキャリアカーと、必要な荷台はまったく異なる。さらに、荷台の長さや高さ、床材、扉の位置、パワーゲートの有無など、事業者ごとに細かな仕様が設定される。

 そこでトラックメーカーでは、まず走行部分となるキャブ付きシャシーを生産し、そのあと「架装メーカー」と呼ばれる専門会社へ送る。架装とは、シャシーの上に、用途に応じた荷台や装置を取り付ける作業のことだ。大型のアルミバンやウイングボディ、ダンプ、ミキサー車、塵芥車などは、それぞれ専門の技術をもつメーカーが製作する。

 道路を走っている荷台なしの新車は、この架装工場へ向かう途中であることが多い。シャシーだけでも、エンジンやブレーキ、ライトなど、走行に必要な装備が揃っているため、条件を満たせば自走によって移動できる。複数台が同じ方向へ連なって走っていることがあるのも、工場や港から架装メーカーなどへ、まとめて回送しているためだ。

 架装工場に到着すると、注文内容に合わせた荷台が、フレーム上に取り付けられる。ウイング車なら箱型ボディと開閉装置、冷凍車なら断熱された荷箱と冷凍機、ダンプなら荷台と油圧装置といった具合だ。車両によっては、クレーン、パワーゲート、工具箱、燃料タンクなども追加される。こうして初めて、ユーザーが実際に仕事で使う姿になる。

 この製造方法には、大きなメリットがある。走行部分を共通化しながら、荷台だけを仕事に合わせて自由に選べるからだ。同じトラックメーカー、同じ型式のシャシーでも、完成したあとは宅配車になったり、ダンプになったりする。乗用車が基本的にメーカー工場で完成した状態で出荷されるのに対し、トラックは「走る部分」と「働く部分」を別々に作るケースが多いのである。

 荷台のない新車トラックは、未完成だから異常なのではない。むしろ、トラックというクルマが、用途に合わせて1台ずつ仕事仕様に仕上げられていく途中の姿だ。道路で見かける骨組みのようなトラックは、これから架装メーカーで荷台を手に入れ、物流や建設など、それぞれの現場で働く1台へと完成していくのである。


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