クルマの開発期間を半減し「ちょうどいいクルマ」を取り戻す! スズキが描く10年先を見据えた技術戦略の中身 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■スズキが「10年先を見据えた技術戦略説明会2026」を開催した

■新車開発は開発期間半減のために企画・設計・生産を同時進行する「並行開発」へ

■軽量化や熱効率50%を目指した10年先を見据えた技術を披露した

10年先見据えた「技術戦略2026」を発表

 スズキは2026年9月25日、「10年先を見据えた技術戦略説明会2026」を開催し、今後の技術戦略の方向性を明らかにした。同社が10年ぶりに技術戦略説明会を開いたのが2024年で、今回は3回目となる。

 説明会の冒頭、代表取締役社長の鈴木俊宏氏はこれまでの2年間を振り返った。2024年には地球環境・資源課題を解決する技術哲学「エネルギー極少化」を掲げ、国や地域ごとに異なる事情に合わせてBEV・HEV・ICE/CNG/FFVを最適配置する「マルチパスウェイ」の考え方を提示した。2025年にはコーポレートスローガン「By Your Side」のもと、地球に寄り添う「エネルギー極少化」と人に寄り添う「本質価値極大化」を組み合わせた技術群を「Right×Light Mobile Tech」として位置づけてきた経緯を説明した。

 今回、鈴木氏が示した新たな目標は「変化のスピードに負けない会社になる挑戦」だ。原材料費やエネルギーコストの上昇、地政学リスク、環境・安全規制の強化などにより、5年前と比較して平均車両購入価格は約50%上昇し、車両重量は約10%増加しているという現状を踏まえ、開発と生産を同時に変革する方針を打ち出した。

 具体的には2020年度比で新型車開発期間を従来の約48ヶ月から約24ヶ月の半分にし、開発効率を30%向上させるとともに、インドのマネサール工場比で生産効率を50%向上させるという野心的な数値目標を掲げている。前工程が終わってから次に進む従来型ではなく、企画・設計・生産・品質・調達が同時進行で動く「並行開発」への転換がその要諦だ。

 インドでの生産体制強化も大きなトピックだ。グルガオン、マネサール、ハンサルプールに続き2025年2月に稼働したカルコダ工場を含め、2030年度以降は年間約400万台の生産能力を目指すという。さらに、牛糞由来のバイオガス(CBG)事業にも力を入れており、この1年でインド国内に3基のプラントが稼働開始。既存のCNGインフラ・エンジンをそのまま活用できる点が強みで、2026年7月には日本・インド両政府が全土に1000基のバイオガスプラント導入を目指す「日印CBGイニシアティブ」の立ち上げにも合意したことも紹介された。

 そして、象徴的な事例として語られたのが軽BEV「e SKY」の開発秘話だ。鈴木氏は「開発初期の一充電走行距離の試算は230km程度でした」と明かし、「本当に230kmでお客さまにご安心頂けるのだろうか、もっと延ばせないだろうか」という問いから「1アイテムで1km延ばす×100個」を合言葉に、部門の壁を越えて改善を積み重ねた結果、310kmまで航続距離を延ばしたと説明。

「これはひとつの画期的な技術によるものではない」と述べ、全体で最適を追求する「チームスズキ」の開発プロセスそのものが、同社の強みであると結んだ。


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