インドネシアではタクシーは安価な移動手段として普及
ブルーバードグループでは、トヨタのフリート販売専用車で3列シートをもつコンパクトMPV(多目的車)となるトランスムーバーをメインに、やはりホンダのコンパクトサイズでSUV風MPVとなるBR-V(終売車モビリオも活躍中)を標準タクシーとして設定している。
さらに、BYDのBEVでT3というモデル(日産NV200バネットに似ている)をeブルーバードとして、そして今まではBYD e6というMPVスタイルのフリート専用BEVをブルーバードプライムとして設定していたのだが、今回訪れると、プライムにトヨタのイノーバ・ゼニクスが加わっていた。イノーバ・ゼニクスは企業幹部の運転手付き移動車両などでサイズも大きく人気が高く、新興国ではステータスの高いモデルとして有名だ。そのイノーバ・ゼニクスを新たにタクシー車両として導入するあたりを見ると、ブルーバードもサービス向上に余念のない動きを見せていた。
インドネシアのブルーバードグループのタクシー画像はこちら
ライドシェアも含め、タクシーまたはタクシー的な移動手段にそんなに多くのニーズがあるのか? と疑問を持たれる人もいるだろう。日本でもここのところ、新車は高くてなかなか買えないという声を聞くようになっているが、新興国ではそもそも諸物価や平均所得などと比べると、新車価格はかなり高くなっている。
たとえばインドネシアを代表する大衆車ともいわれる、トヨタ・アバンザ(トランスムーバーのベース)の廉価仕様は2億4420万ルピア(約219万円)となっている。インドネシアにおける平均年収が45万円前後となっているので、平均年収の5倍弱となっている。ほとんどはローンを組んで購入しているのだが、それでもローンを組んで新車を手に入れることができる人はまだまだ、どちらかといえば裕福な人となるだろう。
それに対してタクシーやライドシェア料金は、日本よりはるかに安くなっている。たとえば常宿からスカルノハッタ空港まで約30kmを、ブルーバードの標準タクシーで利用した際の料金は19万4660ルピア(約1751円)であった。ちなみに日本でやや少ない距離で試算すると、1万5720円となった。
インドネシアのブルーバードグループのタクシー画像はこちら
新興国で自家用車を購入すると、移動手段としてはマイカー一択になるのが一般的だ。新車が買えるか買えないかといった微妙に所得が高めな層などでは、料金が安いこともあり、通勤も含め日常生活の移動手段がタクシーやライドシェアになるのである。
ジャカルタ市内も地下鉄が開業し、路線バス網などタクシー以外の公共交通機関が充実している。しかし、路線バスに乗れば前半分の座席が女性専用スペースになるなど、その様子は日本と変わらないし、軽犯罪(スリなど)も多いと聞いている。日本以外では公共交通機関に関しては危ない乗りものというイメージも浸透しており、懐具合に余裕が出てくると移動手段をマイカー、もしくはタクシーやライドシェアにする人が多い。
インドネシアのビングループのタクシー画像はこちら
経済成長著しいインドネシア、その首都ジャカルタを見れば、年々暮らす人の生活が豊かになっているのが手に取るようにわかる。つまりタクシー需要は、料金が安いこともあり、日本よりはるかにその需要の伸びが期待できるといっていいだろう。
GSMは2026年になってフィリピンにも進出している。ビングループで見れば、グループ内でタクシー用BEVを製造して、グループ内のタクシーサービス会社に車両を供給し、これらをセットで市場参入することができる。筆者はかねがね、これに運転士としての技能実習生(ベトナムの人)も用意して、GSMが日本市場に参入してくるのではないかと考えている。
もちろん実現するにはさまざまな壁があるので、一筋縄ではいかない。ただ、利権絡みで政治という力が加われば、いとも簡単に参入してくるのではないかとも考えている。とはいえ、日本ではタクシー=贅沢な移動手段と考える人も多いので(事実、日本のタクシーは高い)、これが参入する際の大きな壁(諸外国ほど需要が期待できない)となっていくのではないかとも考えている。