V8・後輪駆動は完全に過去のモノ?  絶滅危惧種のアメ車セダンが「30年ぶり」に奇跡の復活を果たすワケ (2/2ページ)

なにがなんでもセダンを残すGMの意地

 ビュイックブランドは、GMのなかではシボレーとキャデラックの間あたりのポジションといえるだろう。キャデラックはGMのプレミアムブランドである。こちらは日本でも正規輸入販売されており、海外展開もGMのなかでは熱心に行っているので、ここ最近のモデルラインアップを見ると、フルサイズSUVのエスカレード以外はアメリカンという雰囲気はなかなか伝わってこない。

 一方のビュイックブランドも、現状アメリカ国内ではセダンのラインアップはない。大型MPV(多目的車)のアンクレイブがママ向けミニバンとして人気を集めているが、GMコリア(韓国)製を含むコンパクトクロスオーバーSUVを合わせても、4モデルしかラインアップしていない。

 実際、本国アメリカよりも中国市場で積極展開するブランドとなっている。中国では、不動の人民的ラグジュアリーミニバンともいえるGL8を始め、アメリカにはないセダンのラインアップもある。調べた限りでは12車種がラインアップされていた。

 アメリカではビュイックブランド車はほぼアンクレイブ一択となるなか、同クラスではトヨタ・シエナ、ホンダ・オデッセイ、クライスラー・パシフィカ、起亜カーニバルといったライバル車も多く、少々存在が薄くなっているようにも見える。

 現地報道では、1996年モデルで終売となったフルサイズセダン(ステーションワゴンもあり)ロードマスター以来、30年ぶりのビュイックのFRセダンとしてその登場を歓迎している。ステーションワゴンで全長5.5メートル強、全幅2メートル強、5.7リッターV8 OHVエンジンを搭載した、最後のフルサイズFRアメリカンセダンの1台が8代目ロードマスターであった。

 筆者は当時、8代目ロードマスターの兄弟車となる4代目シボレー・カプリス・セダンを南カリフォルニアで運転したことがある。5リッターV8 OHVエンジンを搭載していたのだが、舟をこぐように前後に揺れる伝統的なソフトな乗り心地に、中速域まで日本車のような加速をなかなかしてくれないアメリカ車らしいV8エンジンなど、古き良きアメリカンスタイルを楽しんだ記憶がある。

 アメリカンブランドでは、現状セダンが残っているのはキャデラックのみとなっている。2025年には最後のアメリカン量販セダン(FF)のシボレー・マリブが終売となっている。ピックアップトラックやSUVが圧倒的に売れているアメリカ市場ではあるが、最後まで量販セダンをラインアップしていたGMでは、セダンを外すことができなかったのかもしれない。

 新しく登場するビュイックのFRセダンは、パワートレインを共有するモデルがキャデラックやシボレーブランドからも登場予定との報道もある。

 V8エンジン搭載までは期待できないし、いまの流れでは直4エンジン搭載となるのがほぼ既定路線となるようだが、久々の量販アメリカンFRセダンの登場を、筆者も遠く離れた日本からワクワクしながら待ちわびている。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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