エンジンやボディには改善点を指摘! それでもガンさんがゴルフGTIを「お手本」と認めるワケ【ガンさんこと黒沢元治のDPQ:フォルクスワーゲン・ゴルフGTI編】

OPの19インチより18インチタイヤが間違いなくベスト

 ビッグマイナーチェンジでエンジン出力の向上などが行われたゴルフGTIに試乗したい。

 運転席に乗り込むとシンプルなインテリアが好印象だ。ただし大型のモニターがそのデザインをやや阻害している印象を受ける。

 まずはゆっくりとワインディングへと向かう取付道路を流す。試乗車はオプションのアダプティブシャシーコントロール(DCC)を装備しており、ダンパーの減衰力が可変する。ドライブモードでコンフォートを選択しているのだが、それでもサーフェスの荒れた路面では、少々ザワついた動きが気になる。バネレートが高い印象も受け、もう少しコンフォートな設定にすべきだろう。

 ワインディング本線へ入り、本格的にダイナミクス性能をチェックする。20馬力アップを果たした2リッターターボは、その効果が十分に感じられ、走りのパフォーマンスとしては納得のいくものだ。だが以前に比べてやや回転振動を感じる。このあたりは難しいところだが、あくまで従来のモデルに比べてということであり、絶対評価でみれば及第点と言えよう。一方で世界的にスポーティモデルのスタンダードとも言える2リッターターボエンジンのなかで、ライバルモデルに比べると265馬力という数字は決して高い出力ではない。より高出力なライバルも含めて考えれば、もう少し上質にまわるエンジンに仕上げてほしいところだ。

 組み合わされる7速DSGは、長年VWが使い続けて熟成されており、エンジンとのマッチングが素晴らしい。タイトなワインディングではややギヤレシオが高く感じるが、ドイツのニュルブルクリンクや、日本でもゆったりとしたワインディングであれば十分にマッチするだろう。

 気になるのはボディ剛性だ。ダイナミクス性能を確保するという点で不足はないが、ギリギリ足りているというレベルである。恐らく従来モデルからボディ自体には手が入っておらず、出力の上がったエンジンに対して相対的に厳しくなったのだろう。また試乗車の履く235/35R19サイズのタイヤも影響している。標準サイズは225/40R18サイズであり、今回比較試乗できたワケではないが、ボクの経験測上、ロードノイズやコンフォート性を含めた走りの質感を考えれば、18インチのほうが間違いなくいい。フラッシュサーフェスのサーキットで0.1秒を詰めるというのであれば19インチだろうが、公道ならば18インチの選択が正解だろう。

 サスペンションは素晴らしい。反力がシッカリと発生するレイアウトにより、加減速に対して前後の動きが抑えられて非常に安定性の高い走りが実現できている。

 ブレーキもまた、高く評価できる。一見するとやや貧弱なキャリパーに思えるのだが、ペダルの踏力に対する減速度のリニアさ、温度上昇による減速度の変化の小ささ、コントロール性など、文句のないデキだった。これには前述したサスも寄与しており、路面変化による荷重変動を抑えたサスの設計によって、4輪の接地性変化が抑制されており、減速時も4つのタイヤが十分に働いている。

 ゴルフGTIは、世界的にライバルの多いカテゴリーに投入されているスポーツハッチバックだ。細かくみて気になる点を指摘したが、それでもなおこのジャンルにおいてベンチマークとなる完成度を持っているクルマと言えよう。

※本記事は雑誌「CARトップ2025年7月号」の記事を再構成して掲載しています


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