最高に面白いセダンC 43とゴリゴリのスポーツカー化を果たしたSL 63! 2台のAMGにドリキンも惚れた【土屋圭市 峠賛歌】 (2/2ページ)

ラグジュアリーな要素より前面に出たスポーティさ

 次はSL 63 4MATIC+だ。パタゴニアレッドのボディカラーにクリスタルホワイトのインテリアがじつにカッコイイ。AMGが手がけるようになったことが新型SLのトピックのひとつだが、プラス2の4座化など、これまでにはなかった試みもなされた。後席は大人が座るには十分なスペースとは言いがたいが、鞄やバッグなどを置くには勝手がいい。

 SL 43は試乗済み。シフトフィールに若干の違和感を覚えたが、初期段階での個体差だと思っている。さてこのSL 63はどうか。

 4リッターV8ツインターボというビッグな心臓をボンネット内に収めているが、アルミクランクケース&ピストンの採用などで軽量化を図ったエンジンにより、前/後の重量バランス1050kg/890kgを実現。0-100km/h加速3.6秒という実力の持ち主だ。もちろん一般道の峠ではその片鱗を垣間見るのがせいぜいだろう。そんな思いを抱いて走り出してみると、その強大なパワーによる力強い加速力はもちろんのこと、そのパワーを支えるフットワークに感心させられた。

 取材日は峠の麓は真夏、中ほどは結構な雨降り、頂上は気温22度の霧のなかというコンディションだったが、SL初の4輪駆動となる連続トルク配分式の4MATIC+が各タイヤに適切なトラクションを与えて、刻々と変化する路面状況下でもまったく不安を感じさせない走りを披露してくれた。

 フロントヘビーという感覚は感じられず、前後5リンクサスペンションや、これまたSL初のリヤアクスルステアリングなどの採用で回頭性は抜群。車両のほぼ中央にレイアウトされたドライバーズシートにより、4輪の動きもセンシングしやすかった。

 走りの撮影はオープンで行ったが、試乗はソフトトップを閉めて行った。車内に入る走行ノイズが小さく、通常の声の大きさで会話が可能だった。もちろん、ひと度アクセルペダルを踏み込めば、V8DOHCエンジンの咆哮が耳に届く。

 俺が長い間思い描いていたSLはラグジュアリー要素に比重を置いたスポーツカーのイメージだったが、AMGが手がけるとなると、やはりスポーツカーらしさが前面に押し出されている。それはスポーティなデザインのインテリアを見ても一目瞭然。先進的なデジタル化の波はこの優雅なSLにも着実に歩み寄ってきている。

 こんなビッグパワーのスポーツカーながら無理なく乗りやすいのは、やはりメルセデス・ファミリーの一員だからなのだろう。

Mercedes-AMG SL63 4MATIC+ スペック

●全長×全幅×全高:4705×1915×1365mm ●ホイールベース:2700mm ●パワートレイン: V8DOHCツインターボ ●総排気量:3982cc ●エンジン最高出力:430kW(585ps)/5500-6500rpm ●エンジン最大トルク:800N・m(81.6㎏・m)/2500-5000rpm ●トランスミッション:9速AT ●車両重量:1940kg ●タイヤサイズ(前・後):275/35R21・305/35R21 ●車両本体価格:2890.0万円(オプション除く、2023年当時)

※本記事は雑誌「CARトップ2023年10月号」の記事を再構成して掲載しています


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