エンジン車とEVでは同じ表記でも扱いが異なる
<エンジン車は回転数に縛られる>
エンジンではどうか。たとえば、全長がリーフ(4360mm)とほぼ変わらないコンパクトSUV、ホンダ「WR-V」(4325mm)の1.5リッターガソリンエンジンは、最大トルク142N・mを4300rpmで、最高出力87kW(118馬力)を6600rpmで発生する。カタログに「0rpmから」という表記がないのは、エンジンが止まった状態ではトルクを出せず、アイドリング回転数を保ってまわり続ける必要があるからだ。発進時には、トルクコンバーター(流体を介して動力を伝える装置)などで、まわっているエンジンと止まっている車輪をつなぐ。
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しかもエンジンは、最大トルクの回転数と最高出力の回転数が大きく離れている。WR-Vの場合、最大トルク142N・mが出る4300rpmで同じ計算をすると、出力は約64kWにとどまる。回転をさらに上げた6600rpmで、ようやく87kWに達する。最大トルクも最高出力も、カタログ上はひとつの回転数だけで示される。
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モーターにも、最大トルクと最高出力の回転数に違いはある。ただしリーフB7では、0~4300rpmで最大トルクを保ち、その終わりのすぐ先の4400rpmから最高出力の範囲に入る。ふたつの範囲が切れ目なく隣り合っているのだ。エンジンのように、力が出る回転数を探して回転を上げる必要はない。
つまりエンジン車は、回転数を上げて力の出る領域を探しながら走る乗り物である。これに対してBEVは、発進の瞬間から力が出ている。この差が、「アクセルを踏んだ瞬間」の印象の違いに表れる。
<モーターの出力に「幅」がある理由>
リーフB7の最高出力160kWは、4400~11700rpmという幅広い範囲で表記されている。エンジンのようにひとつの回転数のときだけではなく、高回転まで同じ出力が続くという意味だ。
その理由は、モーターがまわると発電機の性質も現れるからである。回転数に比例して逆起電力(回転によって生じ、モーターに逆らう電圧)が大きくなり、インバーター(モーターに流す電流を制御する装置)とバッテリーが供給できる電圧の上限に近づく。そのままではトルクを保てないため、磁石の磁束を弱める「弱め界磁制御」を行い、高回転まで使えるようにする。
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この領域ではトルクが下がる代わりに回転数が上がるので、掛け算の出力は維持される。逆に出力を回転数で割ると、11700rpmで160kWを出すとき、トルクは約131N・mに下がっている計算だ。
スペック表では、rpmが2カ所に出てくる。最大トルクの後ろのrpmは、その最大の力が出せる回転数を示し、最高出力の後ろのrpmは、その最高出力が出る回転数を示す。リーフB7のモーターなら前者が0~4300rpm、後者が4400~11700rpmだ。エンジンも同様に2カ所ある。
なお、いずれもエンジンやモーター自身の回転軸の回転数で、車速ではない。発進時の力強さは最大トルクに、その先の伸びは最高出力に表れる。次にカタログを眺めるときは、エンジンとモーター、それぞれのrpmを見比べてみてほしい。