ガンさんをも驚かせたボディ剛性と1000Nm超えの電動パワートレイン! 新世代AMG C63にほぼ弱点なし【ガンさんこと黒沢元治のDPQ:メルセデスAMG C 63 S E パフォーマンス編】

※本記事は雑誌「CARトップ2024年7月号」の記事を再構成して掲載しています

過去に経験したことがない衝撃的なパワーユニット!

 メルセデスAMG C 63 S Eパフォーマンスを評価しよう。最大の特徴は、先代まで大排気量エンジンのFRモデルから、2リッターエンジン+モーターのPHEV化したことだ。

 走らせると語るべきことだらけだが、まず伝えるべきはトルクだ。アクセルペダルの操作に対して一切の遅れがなく加速が始まり、またその加速は強烈としか言いようがない。タイトなコーナーでの低速からの立ち上がり、中速からの加速、あらゆるシーンにおいてトルク不足は一切感じなかった。しかもPHEV化しているが、加速感はEVのそれとは違い、エンジン車に乗っているような感覚。説明を聞かなければ大排気量ターボだと思うようなものだ。

 実際のスペックを見れば、2リッターターボにモーターを組み合わせてシステム全体では680馬力・1020N・mにも達するという。数字的にも実際の加速も、この種の量産車において、ここまでのモデルは初めてである。

 当然というべきか、これだけの大トルクゆえに4WD化されている。トラクションはまったく問題ないが、現在EVが増えていくなかで、駆動系のギヤのライフに頭を痛めているという情報も聞いている。駆動系は大丈夫かと心配になるほどのトルクだ。

 足まわりも素晴らしい。サスのストロークは極小で、ピッチング方向、ロール方向への動きは相当に抑えられ、文字どおりのフラットライドを実現している。それでいて路面からの突き上げは十分に吸収し、跳ねるような挙動もない。これだけ質感の高いコンフォート性を確保すると通常はもっと上モノの動きが出るのだが、それを抑えて安定性と質感を両立している点は見事としか言いようがない。

 その優れた走りの根幹となっているのが高いボディ剛性だ。あらゆるメーカーのすべてのクルマのデータを取ったわけではなく、そうした根拠なしに安易に世界一などという言葉を使うべきではないかもしれないが、ボクの経験からいえば、こうした量産車において、現時点では世界一のボディ剛性と言っても差し支えないだろう。

 4WSシステムの採用も注目点だ。C 63 S Eはフロントエンジンながら、前1060kg・後ろ1100kgとリヤ寄りの重量配分。当然リヤの慣性モーメントも大きくなるが、下りコーナーでもリヤが不安定になるといったことはまったくなく、上り下りなどシーンが変われどステアバランスも一定していた。ボクが所有するSクラスも含め、メルセデスは4WSを多くの車種に採用しているが、このC 63 S Eのために存在するのではないかと思うほど、効果的に作用している。

 このように、驚くほど素晴らしいC 63 S Eにおいて唯一気になった点がブレーキだ。2tを超える重量ゆえに慣性が大きいためか、ペダルの踏力に対する減速度に若干のズレを感じた。具体的にはフルブレーキの3分の1程度の踏み込みに対して減速度が足りないような感覚を得たのだ。ただしブレーキ自体の性能はまったく問題なく、少し乗っていれば自然とアジャストできるものである。

 まとめよう。電動化により大きく生まれ変わったC 63は、さまざまなクルマを経験してきたボクをも驚かせる素晴らしい仕上がりだった。ぜひとも一度自らの手でステアリングを握り、1020N・mの世界を味わってほしい。

※本記事は雑誌「CARトップ2024年7月号」の記事を再構成して掲載しています


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