ステージを選ぶことなくオールマイティに楽しめる
続いては2023年のオートサロンでお披露目されたコンプリートカーのGRヤリスをベースにした「GRヤリスTSS340」。先に試乗したGR86TSとは違って、こちらはハイフロータービンやインタークーラー、それらに合わせた専用ECUセッティングなどエンジンにもトムスの手が入っている。モータースポーツを視野に開発されたトヨタG16E‒GTS型エンジンの225馬力/370N・mを340馬力/470N・mまで高めている。車両開発テストは、主に富士スピードウェイを中心に行っていると聞いた。
GRヤリスTSS340の走行画像はこちら
今回のテストカーにはオプションのブレンボキャリパーセットなどが装着されているので、1000万円は超えるとのことだ。さて、それではそのパフォーマンスを拝見しようじゃないか。
レース部門と市販車部門は分かれているのが普通なのだが、トムスのクルマは、やはり2冠獲得したチームだなと思わされるところがあった。レーシング部門のレベルをそのまま市販車にフィードバックしている印象だ。さっきのGR86TSでも感じたのだが、車重に対してのサスセッティングが完璧で、伸び/縮みのストロークやスピードが適切。ロール量やロールスピードも含めドライバーが心地よく感じられる部分に合わせられている。車両からのインフォメーションがわかりやすく伝えられるので、サーキット中心のユーザーでなくても怖い思いをせずに十分楽しめるはずだ。
GRヤリスTSS340のリヤスタイリング画像はこちら
タイヤはポテンザRE71‒RSで、フロント、リヤともに255/35R18を履く。このタイヤにサスペンションがピッタリとマッチしているので、さらにバネレートなどを変更していくと、せっかくのバランスが崩れ、より難しいセッティングが必要になるはず。ちなみにタイムは、やはりマネージャーの手計測だが、1分14秒台前半〜半ばだった。
GRヤリスTSS340と土屋圭市さん画像はこちら
ただし、ひとつだけ気になった部分を挙げるなら、5000rpmくらいでパワーの段つきがあると感じた。標準のGRヤリスでは感じられなかった部分なので、ここを煮詰めるとシリーズ最高のコンプリートカーになるんじゃないかなと思う。エクステリアには前後やサイドのディフューザーなどでレーシーにメイクアップしているが、リヤルーフウイングはちょっと目立ちすぎで、オレの好みからは外れるかな。
この2台、それぞれチューニングの度合いが異なるが、誰もが安心してスポーツ走行を楽しめる。まとまりが良く、奥の深いクルマに仕上がっていた。
TOM’S GR YARIS TSS340 装備表
●エンジン:最高出力250kW(340ps)/5800rpm、最大トルク470N・m(48.0kgm・f)/3000-3800rpm、コンプリートカー専用ECUセッティング、ハイフローフルタービン、インタークーラー、ラジエター、エキゾーストシステム「トムス・バレル」 ●エクステリア:フロントディフューザー、カナード、サイドディフューザー、TKリヤアンダーデフューザー、TKリヤバンパーダクト、リヤルーフウイング ●強化クラッチ ●サスペンション:Adovox Sports ●車両本体価格:約1000万円(税込/当時)
※本記事は雑誌「CARトップ2024年2月号」の記事を再構成して掲載しています