【試乗】一度は歴史から消えた名車が“極上の乗り心地”で復活! 新型パジェロが見せた電子制御でごまかさない完全進化 (2/2ページ)

かつてのパジェロとは明らかに異なる上質な乗り心地

 しかし、2026年10月に実車を目前にしたとき、私の脳裏に浮かんだのはあの4代目の「未完成だったパジェロ」がいかにリボーンするのか、という期待と不安だった。果たして三菱のエンジニアたちは、あの課題にどう決着をつけたのか。プロトタイプの短い時間の試乗だったが、ステアリングを握り、アクセルを軽く踏み込んでタイヤが転がり出した瞬間、その答えは一発で分かった。

「なんだ、このしなやかさは!」

 ロードノイズも少なく、高級車としての使命を受けて開発されたような洗練された走りに驚いた。また、かつて野暮に介入してきたブレーキ制御は影を潜め、最新の「S-AWC(Super-All Wheel Control)」として劇的に研ぎ澄まされていた。単に滑りを止めるパッシブな安全装置ではない。4輪の駆動と制動をミリ秒単位で緻密にコントロールし、ドライバーが意図したラインへ車体をスッと向かわせるアクティブな走破・旋回支援へと進化している。ドライバーの邪魔をするどころか、裏で自然に挙動を支える「完璧な黒衣」なのだ。

 アンダーステアに悩んだかつての重たい挙動はどこへやら。2.4リッタークリーンディーゼルターボの溢れ出る太いトルクと、多段化された8速ATの見事な協調制御によって、大柄なボディがまるで自分の足の延長のように軽快に決まる。

 そして何より効いているのが、ハードウェアの抜本的な刷新だ。先代のビルトインモノコックから一転、新型ではピックアップトラック「トライトン」譲りの新世代・独立ラダーフレーム構造へと回帰した。これが効いていると思った。

 ボディとフレームが物理的に隔離されたことで、路面からの不快な高周波振動やキャビンへのノイズが見事にシャットアウトされているのだ。フレームの剛性向上とNVH(音・振動・ハーシュネス)の遮断という「物理的な骨格の強さ」が盤石だからこそ、サスペンションが高速巡航から荒れたダートまで見事に追従する。

「電子制御でごまかすのではなく、まず骨格を鍛え上げる」──いかにも三菱らしい真面目なクルマづくりだ。

 堅牢なフレームと、研ぎ澄まされたS-AWC。このふたつの歯車が見事に噛み合ったいま、ステアリングを通じて伝わってくるのは「地球上のどこへでも行ける」という純粋な素のダイナミクスそのものだ。洗練という名の衣をまとったクロスカントリーSUV。オンロードでもオフロードでも走破できる能力は頼もしい。かつてのパジェロを知る者として、アメイジングな試乗体験だった。


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