ダンボール「77箱」vs「74箱」! 宅配業者が相棒に選ぶハイゼットとエブリイ、積載能力の限界対決

この記事をまとめると

■ハイゼットカーゴとエブリイは物流を支える軽バン二大巨頭だ

■どちらも作り込まれているが微妙な差がある

■重視する用途によって選択肢がわかれるだろう

配送ドライバーの相棒はどちら?

 わが国では爆発的にネット通販が普及し、地域の物流拠点から各家庭に荷物を運ぶラストワンマイルを担っている「軽バン物流」は、かつてないほどの重要な位置づけにあるといってよい。このフィールドにおいて2トップと称される車両が、ダイハツ・ハイゼットカーゴとスズキ・エブリイである。軽バンは、いかに多くの荷物を積めるかが重要な要素。限られた軽自動車規格のなかで、両メーカーは1mm単位で空間を削り出す血のにじむような開発競争を繰り広げてきたのである。

 実際の積載能力を示す指標として、ダンボール箱を用いた例がある。長年このクラスを牽引してきたエブリイの場合、みかん箱程度のダンボールなら約69箱の積載が可能だ。また、両車の現行モデルに同じサイズのダンボールを限界まで積み込むという検証をしたところ、エブリイは74個を搭載することができ、ハイゼットカーゴは77個であったという。

 ダンボールを高く積み上げるときに容量と同じくらい重要になるのが「荷室の形状」と「フロアの平坦さ」だ。この点において、ハイゼットカーゴの作り込みは凄まじい。車体側面の傾斜(絞り込み)を極限までなくし、真四角に近いスクエアなキャビン形状を採用したことで、天井付近までダンボールを隙間なく積むことができる。

 さらに、後席をダイブダウンさせて格納すれば「完全なるフルフラット化」する。床面にシートのヒンジなどの段差が一切ないため、荷室の奥に重いダンボールを押し込むようにスライドさせても、角が引っ掛かって箱を傷つけるリスクが少ないのだ。

 使い勝手のよさではエブリイも引けを取らない。たとえば、荷室床面地上高が650mmと低く抑えられていること。飲料水や米など、重量のある荷物を日に何度も積み下ろしする過酷な宅配業務において、この数cmの床の低さはドライバーの腰への負担を大きく軽減する。

 また、バックドアの開口部が広く取られているために、大きな家具や家電の積み込むことが容易なことも見逃せない。長時間の運転におけるシートの疲労感の少なさといった人間中心のパッケージングについても、エブリイを支持するドライバーは多い。

 軽バン物流では、車内を自分好みにカスタマイズして業務の効率化を図るドライバーも少なくない。ハイゼットカーゴは、荷室の壁面などに多数の「ユースフルナット」を標準装備しており、ドライバーが自身で入手した棚やハンガーバーを自由に取り付けることができる。車体に穴を開ける加工が不要だから、リース車両であってもカスタマイズが可能になる。

 一方、エブリイにも同様の「ユーティリティナット」が備わるほか、アフターパーツの多さで強みをもつ。長年にわたって活躍している車両なので、車種専用の棚板キットやベッドキットがネット上で多数流通しており、既製品を買うだけで手軽に理想の仕事場を作り上げることができるのだ。

 極限まで無駄を削ぎ落とし、1箱でも多く、1秒でも早く荷物を積み込む「ストイックな輸送機械」としての完成度を求めるなら、スクエアボディと完全フルフラットフロアをもつハイゼットカーゴに軍配が上がるだろう。一方で、ドライバーの負担軽減や市街地での取りまわしのよさなど、トータルバランスを重視するならばエブリイがよき相棒となるのではないだろうか。

 どちらを選んでも、日本の物流を最前線で支える最高峰のプロツールであることには間違いないといえよう。


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