過酷な路面でも抜群の安定感と快適性を両立
インスペクションを受け、次はいよいよ自身の運転で砂地にチャレンジだ。7種の走行モードは路面に合わせて選ぶ。サンドモードでは砂に駆動力を奪われないようにATの変速を引っ張り気味にし、トラクションコントロールの介入も軽度に抑える。タイヤを適度に空転させながら前進する狙いだ。反対にマッドモードは、泥を踏み固めるため、大きな空転を制御する方向となる。どちらも路面に応じた設定だが、同じ柔らかい地面でも、モードの違いがクルマの動きに表れる。
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実際、サンドモードでは30センチの砂地で砂をかき上げながら力強く発進できた。ハンドルを切り込むとフロントフェンダー外に砂が巻き上がり、タイヤは深く沈み込むが、それでも方向性と駆動力は確保できている。試しにモードをマッドモードに変えて走ると、制御の差は明確だった。マッドではタイヤ空転が減り、砂をゆっくり掘り下げるだけで車体が止まりかける。砂を掘れば掘るほど車体は沈み、アクセルを踏み増しても制御がかかって前進につながらない。そこでサンドモードに戻すと、タイヤの空転が適度に増し、砂を捉えて進む動きに変わった。
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砂地では空転がすべて悪いわけではない。必要な空転を許し、車速と駆動力を途切れさせないことが重要なのだ。モード選択を誤れば、同じクルマでも走りは変わる。ドライバーの操作と路面の見極めが走破性を左右することを実感させる。そういう意味では7つの走行モードが状況に的確に合わせ込まれ、実効性が高いことを証明してくれた。
ただし、適切なモードを選べば、どこでも脱出できるわけではない。深さが30cmを超える砂地で一旦派手に砂を掻き上げてしまうと、あっという間に50センチほどまで掘り下げられ、車体下部が接触する。いわゆる亀の子状態に陥り、ノーマルタイヤでは脱出限界を超えてしまう。こうなるとトランスファーを4LLcに切り替えても、腹下が砂に乗って車輪に荷重がかからず脱出できない。
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車体が接地した状態を見極め、無理にアクセルを踏まず、状況に応じて牽引などの手段を判断する必要がある。クロカン車の性能は万能ではない。ましてやノーマルタイヤでは動けているうちに適合限界を感知し、砂を掘り下げないようにサンドモードに徹して走る。そういう意味でも、サンドモードの適合力を理解させられた。
下りの斜面ではヒルディセントコントロールも試した。センターコンソールのスイッチを押し、クリープで斜面を降り始めると、ブレーキペダルから足を離してもシステムが車速を制御しながら降下する。試乗時にはメーター表示上およそ4km/hを保ち、傾斜が強まって車体がずり落ちながらも進路を維持できていた。最大で約25度を示す斜面でも、ドライバーはステアリング操作だけに集中できる。エンジンブレーキだけに頼るのではなく、各輪の制動を制御して車速を整える仕組みが急斜面での安心感を支えているのだ。
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こうした砂丘での試験の価値は、パジェロが砂地を走破できたという結果だけではない。三菱自動車は、海外の砂漠で行ってきた試験の知見を国内のルナテラスで活用し、開発と評価のサイクルを短縮する狙いも示している。砂地での走る、曲がる、止まるを検証し、四輪制御を磨く。そこで得た成果は、砂漠に限らず、雪道やぬかるみ、荒れた未舗装路での走破性にもつながっていく。
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パジェロのもち味は悪路走破性を得るかわりに快適性を諦めることではなかった。オンロードでは静かで快適だ。乗用車のように自然な操舵感を備える。砂地では、スーパーセレクト4WD-IIやS-AWC、走行モード、カメラを組み合わせて、タイヤグリップをコントロールしながら進むべき方向へ進む。走破力を支えるのは機械の強靭さだけではなく、路面に応じた制御と、ドライバーが状況を判断するための情報、そして知見や経験則だ。
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ルナテラスの砂地はパジェロの性能を試すと同時に、走破性の限界も教えてくれる。深い砂に車体が乗れば、名車の系譜を継ぐ新型でも簡単には動けない。その現実を含めて、走りの限界を確かめられたことに意味がある。砂を捉えて進み、斜面を制御し、なお乗員には静けさと快適さを届ける。新型パジェロは悪路に強いだけでなく、悪路をどう走るかまで考え抜かれ送り出されている。その性能をより理解し、実際に役立たせる意味でも、こうした施設でのドライビングスクールも今後は必要となるだろう。
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鳥取砂丘「ルナテラス」で魅せた新型パジェロの圧巻の走り画像はこちら