約800万円の高級SUVとしてアリ? 300台限定の新型「日産ムラーノ」に試乗して見えた“優等生”な素顔

※本記事は雑誌「CARトップ2026年11月号」の記事を再構成して掲載しています

北米仕様をベースに法規対応約11年ぶりに日本市場復活

 日本市場では2015年に販売を終了していた日産の(北米における)ミドルSUV「ムラーノ」が、300台限定でカムバックした。

 その数の少なさからもわかるとおり、内容は極めてニッチだ。導入される車体は、北米はテネシー州スマーナ工場で生産された左ハンドル仕様を、ほぼそのまま日本に持ち込む「輸入車」。よってFMラジオの周波数も合わないし、日産コネクトや純正ナビさえ使えない(CarPlayなどには対応)。12.3インチモニターを二丁掛けするディスプレイに表示される文字はすべて英語で、音声認識に話しかけても英語で返された。

 今回試乗したムラーノは昨年登場した第4世代で、最上級グレードの「プラチナム」だったが、日本導入モデルはもっともベーシックな「SV」となる。

 具体的にはタイヤが21インチから20インチとなり、電動格納ミラーは非搭載に。ボディカラーは単色となり、シートも本革から合成皮革になるといった具合だ。

 というわけで走りに行こうとして、いきなり右側ドアを開ける失態をやらかした。ちなみにウインカーレバーも左のままだ。

サイズを感じさせない配慮とVCエンジンが走りのキモ

 運転感覚は、かなり新鮮だ。1980mmにもなる全幅は3m以下の生活道路だと明らかに大きいが、左ハンドルだから路肩との距離がミラーで測りやすい。操舵応答性もキビキビしているから、予想した以上に運転しやすかった。最小回転半径は5.6m超と大きいが、インフォテイメント画面に周辺状況が大写しされるから転回もしやすかった。

 210mmの最低地上高ゆえ、乗り降りにも勢いが必要だが、乗り込んでしまえば運転席からの見晴らしがすこぶるよく、大ぶりなインパネが車内の広さを強調して、ちょっとしたリビング感覚を味わうことができた。

 パワーユニットは電動化されておらず、横置き搭載した2リッター直列4気筒「VC(可変圧縮比)」ターボ(245馬力/352N・m)に9速ATの組み合わせ。駆動方式は、電子制御カップリングを組み込んだAWDだ。

 圧縮比を8:1から14:1までシームレスにコントロールするVCターボは、低速トルクも豊かで街なかでも巨体を持て余さなかった。また高速巡航時の加速でも、このトルクが高回転まで気持ちよく持続した。9速ATのダウン側制御が鈍いのは残念だが、2リッターでも十分な役目を果たしている印象だ。またハンズオフはできないが、プロパイロットの制御も高速移動を快適にサポートしてくれた。

 乗り心地は北米仕様のイメージに反してダンパー減衰力の伸び側がやや強めだが、速度が上がるにつれフラットさが増した。日本導入モデルはタイヤ&ホイールが20インチだから、さらに乗り心地はよいだろう。

 インフォテイメントの投げっぱなしぶりには驚いたが、それも含めて味わいの違いを大いに楽しめたムラーノ。ただ本格導入するならそのエクスキューズもなくなるわけだが、約800万円の高級SUVとして見るとかなりの優等生だと感じた。300台限定の反響が、正式導入へとつながるかは見ものだ。

※本記事は雑誌「CARトップ2026年11月号」の記事を再構成して掲載しています


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