大型トレーラーで「テニスボール」を跨ぐ!? ドライバーが「神業」を競う世界大会の裏側 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■トラックの運転技術を競う「UDエクストラマイルチャレンジ2026」が開催

■世界各国で開催された予選を勝ち抜いたドライバーたちが集まった

■国ごとに異なるトラックの扱い方が見られる興味深い競技だ

水をこぼさず、タイヤを正確に通す。大型トレーラの運転に求められる技術とは

 世界各国のプロドライバーが集まり、運転技術を競う「UDエクストラマイルチャレンジ2026」のグローバル決勝が、UDトラックス本社で開催された。世界各地の予選を勝ち抜いた選手たちが挑んだのは、速さだけでは評価できない、正確さと安全性が求められる競技だ。

 競技に使用されたのは大型トレーラ。長年、プロドライバーとして大型トラックやトレーラを運転してきた筆者にとっても、改めてその運転技術の奥深さを感じる機会となった。

繊細な操作と車両感覚が試される競技

 競技には、パイロンを使った狭いクランクの通過や後退操作のほか、荷台に載せた水が、走行中にどれだけこぼれるかを確認する課題もあった。また、地面に並べられたテニスボールの間を、後輪のダブルタイヤが正確に通過する難関も設けられていた。

 こうした課題で求められるのは、単に車両を動かす技術ではない。加速や減速、ハンドル操作をできるだけ滑らかに行い、車体の揺れを抑えながら、狙ったラインを正確に走る技術だ。

 大型トレーラは、トラクタとトレーラが連結されているため、運転操作に対してトレーラが描く軌跡も考えなければならない。とくに後退のときには、ミラーに映る情報を頼りに、直接見えない車体後方の状況やタイヤの位置を予測しながら操作する必要がある。

 テニスボールを避けるのではなく、ダブルタイヤをその間に通すという課題は、車両の大きさやタイヤの位置を、正確に把握できているかが問われるものだ。わずかな位置のずれが結果を左右する。

 一方、水をこぼさない走りでは、急な操作を避け、車体の動きを穏やかに保つことが重要になる。普段の運行でも、こうした丁寧な操作は荷物への負担を抑え、安全性を高めることにつながる。

国が違えば、運転のスタイルも違う

 今回、とくに興味深かったのが、国や地域によって選手たちの運転スタイルに違いが見られたことだ。

 日常的に走行する道路環境や車両の仕様、ミラーの形状などが異なれば、普段の運転で培われる感覚にも違いが生まれる。競技では、そうした経験の違いが、進入角度やハンドルを切るタイミング、切り返しの判断などに表れているように感じた。

 そして、競技を見ていて改めて感じたのは、操作を急ぐことと、的確に操作することは同じではないという点だ。

 大型トレーラは、最初の進入角度や位置取りが少し違うだけでも、そのあとのトレーラの動きが大きく変わってくる。とくに後退では、最初のアプローチを誤ると、途中で何度も修正が必要になることがある。

 思い描いたラインに乗せられない場合、無理に操作を続けるのではなく、一度前進して、位置を修正する判断も重要だ。制限時間を意識しながらも、安全を優先して冷静に判断する。これもまた、プロドライバーに求められる技術のひとつである。

 こうした判断力は、大会当日だけで身につくものではない。日々の運行で経験を積み、車両の特性を理解し、さまざまな状況に対応してきた積み重ねがあってこそ、発揮されるものだ。


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