この記事をまとめると
■文字が発光する字光式ナンバーは1970年に北海道で誕生
■視認性向上を目的に普及もLED化や安全装備の進化が逆風となっている
■装着コストも高いことから現在では見かける機会が激減している
もともとは安全のために生まれた
最近見る機会がめっきり減った字光式ナンバープレート。字光式ナンバープレートとは、文字の部分に透明な樹脂をはめ込んで、字の部分が光るようにしたナンバープレートのこと(プレートの本体部分はアルミ製)
これに対し、一般的なナンバープレートはアルミの板に文字や数字をペイントしたタイプなので、ペイント式ナンバープレートと呼ばれている。
この字光式ナンバープレートが登場したのは、1970年。雪道でのナンバープレートの視認性を高めるために、北海道で登録車(普通車)に交付されたのがはじまりだ。そのあとにほかの地域にも広がっていったわけだが、軽自動車に字光式ナンバープレートが交付されるようになったのはわりと最近で、2002年から。
軽自動車の字光式ナンバープレート画像はこちら
軽自動車用の字光式ナンバープレートの交付が遅れたのは、軽自動車のナンバーの文字部分が黒色で、発光による光の透過に不適なため。その実用化に成功した旭化成テクノプラスによると、皆既日食の「ダイアモンドリング」をヒントに文字の輪郭を発光させるというアイディアによって実現を可能にしたとのこと。
字光式ナンバープレートを取り付けるのには、字光式ナンバープレート本体のほかに、別途、照明器具が必要になる。照明器具の筐体(きょうたい)は、当初金属製の電球式で重厚なものだったが、のちに軽量安価な樹脂製になり、2008年頃からLED式に移行していく。
LEDの字光式ナンバー用台座画像はこちら
LEDは明るいのに消費電力が少なく長寿命というメリットがあるが、発熱量がほとんどないので付着した雪を解かすことができず、降雪時の視認性を高めるという目的にそぐわなくなってきてしまった一面も……。
また、先進安全機能のミリ波レーダーなどのセンサー類がナンバープレート付近に配置されることが多く、字光式ナンバーがこれらの安全装備に悪影響を与え、誤作動の原因になる可能性があるので、メーカーや車種によっては「字光式ナンバープレート搭載不可」となっているものも増えてきている。
コスト的にも、字光式ナンバープレートは有利とはいえない。ナンバープレートの交付手数料は、ペイント式が1980円なのに対し、字光式ナンバープレートは5600円(いずれも東京都の中型番号標=乗用車など)。
それとは別に、照明器具代が2万5000円~5万円。配線など取り付け工賃が、5000~1万円。申請の代行手続きも業者に頼むと1万円前後はかかってしまう。
高コストで、装着できるクルマが限られていて、しかもドレスアップ効果としてもなんともいえない感じなので、字光式ナンバープレートの装着車は、減少傾向にあるのが現状だ。