この記事をまとめると
■新型ルークスの開発者にインタビューした
■ユーザーの声を吸いあげ進化し「選ぶ楽しみ」にもこだわる
■軽量化や足まわり改善で乗り心地を向上させADASも刷新した意欲作に仕上げられている
話題の新型ルークスに込められた思い
日産の超背高軽ワゴン「ルークス」が年内にも4代目へと生まれ変わる。今回も軽自動車プロジェクト合弁会社のNMKVを通じて三菱と共同開発されたことから、両社(車)はどのように棲みわけられたのか。また新型「ルークス」の進化のポイントは。日産自動車商品企画部の水上貴之課長と、日産オートモーティブテクノロジー車両プロジェクト統括部の遠藤雅哉主管に聞いた。
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──新型ルークスでは、三菱さんとはどのように役割分担されているのでしょうか?
水上さん:三菱さんは別の会社として商品を企画していますが、ものづくりにおいてはかなり共用している部分がありますので、開発初期の段階からどういったクルマ像にするか、どんな車種展開にするかを、密にコミュニケーションを取りながら進めています。
そして、それぞれのマイルストーンごとに、どこを共用するか、どこを戦略的に差別化するかという議論を重ねながら、効率的かつ効果的にそれぞれのキャラクターを作れるようにしていますね。会社としてはNMKVで開発し、生産は新型も三菱さんの水島工場が担当します。
──新型も標準車はフロントグリル以外が日産さんの「ルークス」と三菱さんの「eKスペース」が同じで、エアロ仕様の「ハイウェイスター」は日産さんだけ、クロスオーバーの「デリカミニ」は三菱さんだけ、という棲みわけでしょうか?
水上さん:はい。標準車は両車での差別化が難しい部分が多いと思いますが、「ハイウェイスター」と「デリカミニ」はかなりの差別化をしつつ、商品として共用している部分も確かにあります。ですが、商品企画やコンセプト、ターゲットカスタマーは、お互い全然相談せずにそれぞれで決めていますね。
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──新型ルークスの「ハイウェイスター」をこれまでのように、わかりやすいコテコテのエアロ仕様にしなかった狙いは?
水上さん:「ハイウェイスター」にはエアロというイメージがこれまではあったかもしれませんが、マーケットが少しずつ変化している兆しを感じています。ひと昔前は各社がカスタム系、クロームメッキを多用したモデルがウケていましたが、今後は少し変わっていくと考えています。どちらかというと大人の女性……、もちろん男性にも買っていただきたいですが、大人の女性が考える上質とはなにかを解釈したうえで、今回の「ハイウェイスター」をあのようにしています。
これで私たちが狙ったのは、これまでルークスを買って下さったお客さまはもちろん、登録車から乗り換える方も決してネガティブな印象をもたずに、小さな上質なクルマとして選んでいただけるようなモデルにすることです。そのためこれまでの「ハイウェイスター」よりも上質な方向に振っていますね。
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──その結果として、率直な印象としては「ハイウェイスター」と標準車との違いが、とくにデザイン面でわかりにくくなったと感じています。両タイプの違いをどう訴求していくお考えでしょうか?
水上さん:かなり違うものと私たちとしては勝手ながら思っていたんですが、大きな違いとしては、軽自動車はボディカラーが非常に大事だと考えています。そのなかで2トーンカラーは「ハイウェイスター」のみになります。
内装は標準車がポップ、カジュアルなのに対し、「ハイウェイスター」はダーク系の落ち着いた上品な雰囲気に仕上げています。そういったことがお客さまにコミュニケーションで伝わるようにしなければなりませんね。
遠藤さん:また「ハイウェイスター」では、ADASの「プロパイロット」が選べるようになっています。軽自動車ではありますが、郊外を走ったり高速道路を使ったりする方であれば、「ハイウェイスター」を選んでいただき「プロパイロット」を装着していただくのがいいと思います。ヤンチャ系の「ハイウェイスター」というよりは、本来の意味の「高速道路の星」という意味になりますね。ターボエンジンもハイウェイスターだけの設定です。
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