この記事をまとめると
■メーカー系チューニングブランド4社が合同試乗会を開催
■STIはスバルWRX S4をベースとする2台のモデルを用意した
■S210は完璧といえる仕上がりでSTIパーツ装着モデルのS4も高い完成度を見せた
8年ぶりのSシリーズはまさに集大成の出来栄え
モビリティリゾートもてぎにて、メーカー系チューニングブランド4社によって開催された合同試乗会。STIからは、2025年春に500台限定発売されたSTI S210と、STIのパフォーマンスパーツを装着したWRX S4 Sports R EXが用意された。
日本国内では8年ぶりの登場となるSTIのSシリーズ。S210は、近年STIが提唱する「運転が上手くなるクルマ」の集大成ともいえるもので、ニュルブルクリンク24時間耐久レースで得たノウハウを存分に盛り込んだコンプリートカーだ。
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とはいえ、S201からほとんどのモデルに試乗してきたおじさん世代としては、ひさびさのSシリーズ登場に高揚する一方で、「とはいえCVTだよな……」というネガティブな感情もぬぐえない。
そんな入り混じった気分のまま走り出したのだが「!!!」。集大成を謳うだけあって、デキは完璧。エンジンは、たぶん電動アクチュエータが最大過給圧を巧みにコントロールしているのだろう。2.4リッターの余裕のあるトルクがそのまま厚みを増し、とくに3500〜5000回転あたりのトルクの充実感がいい。
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エンジンをレブリミットまでぶんまわすことをせず、ちょっと低めの回転でトルクを使って走らせることで、面白いようにスピードが乗るし、コーナー立ち上がりから先の伸びが心地よい。エンジンをまわすとCVTのネガが顔をのぞかせるが、厚いトルクを余すことなく使うイメージで走る限り、ネガを一切感じない。そして十分な速さもある。ミッション特性まで含めた巧みなエンジンチューンだ。
操縦性も見事。ステアリング操作にクルマが忠実についてくる。操舵に対して過剰、不足がないから修正舵がほぼいらない。最小限のシンプルなステアリング操作でこと足りるのだ。運転が上手くなるクルマの真骨頂といったところだろう。
途中振りまわしてみようと試みたが、限界は高いし、4WDの駆動トルク配分も4輪を接地させトラクションを稼ぐ味つけ。リヤを振り出してクルマを振りまわしたいタイプの走り方に対してもかなり強情にグリップ走行を指向した味付けであるように感じるが、ニュルブルクリンクを走ることを考えれば、この圧倒的なスタビリティは相当に心強い。クルマをスライドさせなくても、ちゃんと曲がってくれるのだから。
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全体的にスポーツドライブな方向に寄せたセッティングになっているものの、ふと思い出してドライブモードをコンフォートにすると十分にしっとりとしており、乗り味は上質。すべてのパーツにこだわって、走り込んで、理想とする操縦性に向けてチューニングされている。そんな印象がある。