「ポート研磨」と「バランス取り」! クルマのエンジンチューンでよく聞くけどイマドキのクルマにはそこまで効果がないって本当?

この記事をまとめると

■エンジンチューンのポート研磨とバランス取りの意味を解説

■吸気抵抗低減や部品重量均等化で出力向上を図れるが現代エンジンでは効果が限定的

■職人技とこだわりの積み重ねが軽快フィーリングを生む

チューニングの本質は細部へのこだわりにある

 エンジンチューンで聞かれるポート研磨やバランス取りという言葉。それはどんな作業でどんな意味があるのだろうか。

 ポート研磨とは、エンジンの燃焼室につながる部分のポートという部分をリューターと呼ばれる圧縮空気で回転するドリルのようなもので削ること。エンジンに吸い込まれる空気の抵抗を減らすようにポートを削ることで、パワーアップが可能なチューニングである。

 このポートの形状がチューナーの腕の見せどころで、どんな形にするかで出力が変わってくるという。チューニングショップの親父は吸い込まれる空気の気もちになって、ポートを丁寧に削ったなんていわれている。また、そのポート内部は削ったあとに鏡面になるまで磨き上げることで吸気抵抗を極限まで減らしたりしていた。

 現代でもポート研磨は存在するが、昔のエンジンほど抵抗になるような段差は少なくなり、昔ほどの効果はない。また、鏡面加工もやりすぎると逆にツルツルの表面に空気が張り付いてしまうことで抵抗が悪化することがわかっていて、いまどきは半鏡面くらいにとどめておくのがいいとされている。

 ちなみにカムが存在しないロータリーエンジンでは、ポート研磨とポートの形状がエンジン特性を左右するためレシプロエンジン以上にポート研磨が重要で、エンジンパワーとトルクを決める重要な要素である。

 バランス取りはピストンやコンロッドなど、4気筒なら4つある部品のそれぞれの重さを揃えるチューニングのこと。極限まで重さを揃えることで滑らかなエンジンになり、出力もアップするという。チューニングエンジンではピストンの裏側など影響のない部分をリューターで削って重さを揃えていく。ところがレースではレギュレーションでそういった行為が禁止されていることも多い。

 そこで少しでもライバルよりも速いエンジンを手に入れるために、ピストンを100個購入して、そのなかから、できるだけ重さの軽いもので4つ揃っているものを見つけて使う、なんてことが行われていた。

 膨大なコストと引き換えにわずかなパワーを手に入れていたといわれるが、実際どれだけ効果があったかはわからない。昔のエンジンは相当バランスにブレがあったのかもしれないが、少なくともここ20年の市販車のエンジンでは、正直メーカー出荷状態と、組み直してバランス取りをしてあるエンジンでアイドリングや市街地をさらっと乗ってわかるほどの差があるかは微妙である。

 しかし、そういった気もちが大事という話でもある。バランスにこだわるほど手をかけたエンジンなら、そのほかのクリアランスや組み付けなどにも気を配っていくはず。そういった細かな積み重ねが軽やかなフィーリングを生み出したり、わずかなパワー感をもたらしてくれる可能性もあるのだ。

 近年ではそういった手組みのこだわりのエンジンを作れるお店やチューナーも減ってきている。職人技ともいえる作業だけに経験値が必要でもある。そういった声を受けてHKSではコンプリートエンジンの製作販売を開始したという。HKSではRB26やFA20など、HKSで専門スタッフが組み上げたエンジンを提供している。価格もそれなりに高いが、高度な技術で専門スタッフが組み上げたエンジンはいまや貴重なものでもある。そういったものが手に入るというだけでもありがたいことなのだ。


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加茂 新 KAMO ARATA

チューニングジャーナリスト

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