クルマを実測したらカタログほどエンジン馬力が出ていない! でも「ウソ」じゃないメーカー公表値の謎 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■エンジンの最高出力にはエンジン軸出力と車輪軸出力がありそれぞれの数値が異なる

■エンジン軸出力は走行駆動系のパーツを装着せずにエンジン単体で測った出力

■車輪軸出力はエンジンが発生した力を走行駆動系のパーツを経て計測する

出力の計測方法の違いで数値に差が出る

 クルマの性能を知る上で、大きな目安となるのがカタログスペックだ。とくにエンジン性能値、最高出力と最大トルクは、ほぼ100%自動車メーカーの公表値を参考にする以外にない。たとえば、カタログ公表値で100馬力と記されていれば、そのエンジンは100馬力だと判断し、車両選択の基準として活用することになる。

 しかし、その一方で、エンジンチューニングなどを施した際、チューニングによる性能向上分を確かめるため、シャシーダイナモに載せて車輪軸出力を計測するケースがある。このシャシーダイナモによる計測を、チューニング前とチューニング後に行えば、その差がチューニングによる性能向上分として理解することはできるが、チューニング後のみの計測の場合、チューニング前の数値を知ることができず、ノーマル状態として公表されているカタログ値を比較基準値として活用するほかない。ところが、それほどハードでもないメカニカルチューンの場合、カタログ値よりチューニング後の計測値が下まわることもある。

 オーナーにしてみれば、大枚をはたいて性能向上を図ったエンジンチューンにもかかわらず、数値的にはカタログ値より低いというショッキングな事実を知らされることになる。カタログ値は水増した出力値だったのか? それともチューニングとは名ばかりで、実際にはエンジン性能を下げてしまう詐欺まがいの行為だったのか? 疑い始めると、次から次へと疑問が噴出することになる。いったい、何が正しいのか?

 結論から言ってしまえば、メーカーのカタログ値もシャシーダイナモによる計測値も、どちらも正しい数値なのである。どういうことかと言えば、出力の計測方法が異なるため、数値に違いが生じたのである。


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