乱立していた中国EVメーカーもいよいよ明暗クッキリ! EV普及率の高いタイのモーターショーでみえた各社の動向

この記事をまとめると

■タイ市場では中国系BEVブランドの勢いに変化が見え始めている

■BYDやMGは攻勢を継続しているがNETAはタイ市場から撤退した

■乱売競争と市場鈍化により各ブランドで今後の戦略が大きく異なることになりそうだ

中国系BEVブランドの明暗がわかれ始めた

 中国系ブランドのBEV(バッテリー電気自動車)はその腰の軽さが大きな特徴であった。新型車を矢継ぎ早に投入しながら、既存モデルのブラッシュアップも短いスパンで進め、必要とあれば年単位ではなく月単位で性能向上をはかると公言したブランドもあった。

 BEV普及率が20%を超えているタイでは、その普及を中国系ブランドがけん引している。世界的にBEV販売に陰りが見えるなか、中国系BEVブランドのNETAが事実上市場撤退したこともあり、タイでもBEVよりHEV(ハイブリッド車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)が注目されるようになっているが……。

 2026年3月末から4月上旬にかけてタイの首都バンコク郊外で行われた「第47回バンコク国際モーターショー(BIMS)」会場内を見渡すと、NETAこそブースを構えていないものの、そのほかの中国系ブランドは展示ブースを設け、さらに新規参入ブランドまで見つけることができた。

 ただ中国系ブランド個々でその様子は変わってきているようである。タイでのBEV販売トップとなるBYDオート(比亜迪汽車)は会場でPHEV1台を含む4台の新型車を発表し、勢いがとどまらない様子をアピールしていた。ICE(内燃機関)車のみのころからタイ市場に参入(2014年)し、すでに参入から12年目を迎える上海汽車系のMGも、人気BEV2車の改良モデルを発表、ブース内にはICE、HEVなど多彩なラインアップを披露していた。ここのところ東南アジアで存在感が急速に増しているチェリー(奇瑞汽車)は、チェリー、オモダ、LEPAS、JAECOOといったチェリー系ブランドを多数動員し展示ブースをにぎわせていた。

 このように活発な動きを見せるブランドがある一方で、広州汽車系BEVブランドのAIONでは既存車種のみの展示で目立った話題もないように見えた。GWM(長城汽車)も、クロカンスタイルのタンクやコンパクトBEVとなるORAシリーズの最新型を市場投入したものの、既存クロスオーバーSUVは一時よりすっかり街なかで見かけることが少なくなってきており、全般的には新型車の投入が少なくなった印象を受ける中国系ブランドが目立ってきている。

 いままでは短いスパンで新型車を投入してきた中国系ブランドだが、中国国内では原価割れ販売も当たり前といわれるなど深刻な中国経済の不振傾向もあり、車両開発が減速傾向にあるのではないかとも考えている。

 また、BEVを得意としているだけに、BEVに興味をもつひとは新しいもの好きなひとも多いので、ひとつのブランドに定着することなく、新しいブランドが出てくれば「次はそっち」という購買行動も目立つのかもしれない。ひとつのブランドに定着しにくい状況が続いているようにも見える。

 基本的には中国系ブランド同士での乱売傾向はタイでも半ばお約束となってきているのだが、ジーリー(吉利汽車)系上級BEVブランドのZEEKRや、高級路線を突き進むBEVブランドのシャオペン(小鵬汽車)あたりは乱売傾向に巻き込まれずに安定した販売を行っているようなので、中国系ブランドとその動きをひとくくりにするこができずに、ブランドごとに明暗がわかれようとしているように見える。

 タイの新車販売市場も少子高齢化が顕在化してきており、「いまがてっぺん」ともいわれているだけに、今後の市場拡大は期待できないとの声も出てきている。そのなか、昨今の世界情勢やローン審査の厳格化などもあり、市場環境はけっしてよいとはいえない状況が続いている。そのタイ市場でどのような戦略をとっていくのか、今後の中国系ブランドでも進むべき道がそれぞれ異なってくる傾向が目立ちそうである。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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