じつはクルマのトランスミッション「CVT」って1種類じゃなかった! さまざまな方式を一挙に紹介!!

この記事をまとめると

■トルコンやDCTと並ぶ代表的なATの方式のひとつがCVTだ

■CVTにはベルト式やチェーン式やトロイダル式など複数の種類が存在する

■変速機は燃費性能向上を目指していまも進化を続けている

無段階変速機とも称されるCVT

 いまや自動車の変速機といえばAT(自動変速機)、いわゆる「オートマ」が世のなかの標準になっている。かつては変速時間の短さで、速く走るならMT(マニュアルトランスミッション、手動変速)といわれ、MT派の支持根拠にもなっていたが、これもDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)の登場により、MTはクルマを走らせる操作そのものに楽しみを見出す変速方式に、その立ち位置を変えている。

 さて、変速機の意味だが、内燃機関(ガソリン、ディーゼル)の機関効率は、発生するトルク値の変化から見ても明らかなように、その特性上、変速機なしで発進から最高速度域(法定速度ではなく性能としての最高速度)までカバーすることはできない。車速の上昇に従い、エンジン機関効率の優れる回転領域だけを使うよう、駆動系に変速機を介在させて変速比(ギヤ)を切り替えながら、内燃機関の特性をうまく活用できるように考えられた機構だ。

 さて、現代の標準的なトランスミッションであるATだが、大別すると2タイプになる。古くからあるトルクコンバーターに機械式変速機を組み合わせた一般的に呼ばれる「オートマ」と、一対のプーリー径を変化させながら変速比を変え動力を伝えるCVT(Continuously Variable Transmission、連続可変式変速機)のふたつと考えてよいだろう。

 このCVT、オランダDAF社の創業者であるファン・ドーネが考案した方式で、動力伝達に一対のプーリーと金属ベルトを使う方式である。基本的には、プーリーと金属ベルトの摩擦によって動力が伝わる方式であること、プーリー径を維持するために高い油圧が必要であることなどが特徴となっている。このCVTを世界で始めて量産自動車に採用したモデルがスバル・ジャスティ(1987年)だった。

 続いて、プーリー間の動力伝達に金属ベルトではなく金属チェーンを使うチェーン方式が考え出された。金属ベルト式よりも、低速側、高速側で伝達効率に優れ、プーリー径を小さく出来るため、システムの小型化が可能になったり、同じスペースなら変速比をワイドにとれるといった特徴をもっている。欠点は、点接触で動力を伝達するため、面接触の金属ベルト方式より騒音が大きくなりがちな傾向にあることだ。アウディのマルチトロニック、スバルのリニアトロニックがこの方式に該当する。

 エンジンとミッションの配列から横置きマウントとなりFF方式が主体となるベルト方式に対し、エンジン/ミッションを縦置きでレイアウトできるトロイダル方式が考え出された。FR方式で使えるCVTだ。出力軸と入力軸にそれぞれれディスクを設け、その間に動力伝達用のパワーローラーを配置する構造で、パワーローラーの傾斜角を変えることで変速比を変化させている。

 実用例は少なく、日産がハーフトロイダル方式(日産名エクストロイドCVT)を使ったY34型セドリック/グロリアとV35型スカイラインで採用されるにとどまった。全体的な伝達効率の点とコストが割高になることからその後の採用は見送られている。

 CVTは、流体ジョイントであるトルクコンバーターとは異なり、ダイレクトに出力が伝達される特徴があるため、従来のAT車(要点はクリープ現象の使い勝手)に慣れ親しんだユーザー層から敬遠される傾向にあった。この問題に対処するため、CVTにトルクコンバーターを組み合わせて商品化する例もいくつか見られた。

 金属ベルト式CVTがもつ高回転域での問題点に着目し、変速比幅のワイド化を意図してプラネタリーギヤ式変速機を追加、併用するCVTをダイハツが開発、商品化した。D-CVT(デュアルモードCVT)と呼ばれる方式で、ベルト式CVTの利点が発揮できる中回転域まではベルト式CVT方式で、それ以上の回転領域は、プラネタリーギヤ式の変速機を併用することで燃費改善を図ったシステムだ。

 このほか、CVTにはゴムベルト式、コーン式、フリクションディスク式などもあるが、現在、4輪自動車用として実際に使われているものは、これまでに触れてきたものになる。エンジンの機関効率に優れた領域を使える変速機だけに、省燃費(二酸化炭素の排出量削減)を実現にするには効率的なトランスミッションといえそうだ。


この記事の画像ギャラリー

新着情報