棚から消えた自動車のエンジンオイル
「ナフサが足りない」という衝撃的な報道が、日本経済を混乱させた。
ゴミ袋やラップといった商品が店の棚から消え、塩ビパイプや潤滑剤が不足したことで各種工事がストップしたという報道もあった。自動車関係ではタイヤやエンジンオイルなどが店頭から消えたという悲痛な声も聞こえてくる。
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果たして、ナフサが不足しているというのは事実なのか、そうだとすれば、将来に向けてどのような対策が必要になるのだろうか。 先に結論を言えば、原材料としてのナフサが不足しているとは考えづらい。
ご存じのように、ナフサは原油を精製して生まれるプラスチックや合成ゴムなどの原材料となる成分である。原油の精製というのは、原油を温め、気化する温度の違いによって、そのなかに含まれる成分を分離する作業と言える。そして、ガソリンや軽油、重油といった化石燃料を精製する際の連産品のひとつがナフサなのである。
原油の産地によって多少の違いはあるが、ガソリンとナフサの比率は大きく変わらない。つまり、精製方法によって、ナフサだけを減らすなどという器用なことはできない。
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しかし、ナフサ不足が叫ばれているとき、ガソリンや軽油が不足したというニュースはあっただろうか。ここまで書けば、勘のいい人は理解できるだろう。本当に原材料としてナフサ不足が発生しているのであれば、ガソリンや軽油も不足していなければならない。
確かに中東情勢の緊迫化による輸入ナフサの減少という報道はあったが、日本国内の化学コンビナートが完全にストップしたわけではない。
マイルドな買い占めがナフサ不足の本質的原因
では、なぜゆえに供給不足といえる現象が起きたのか? そのヒントとなる証拠は、政府が発表した直近の家計調査の内容にあった。インフレが進んで、思うように買い物ができないと実感している人が多いはずなのに、なぜか『ポリ袋ラップへの出費が42.7%増加』したというのだ。
急にラップやポリ袋の消費量が従来比で1.5倍になるほど生活様式の変化があったとは考えづらい。これは「ナフサ不足」という報道の影響を受けて、いつもより少しだけ多くナフサ由来として話題になった石油化学製品を買い求めた。それが統計データとして表れている。転売目的の買い占めではなく、各人が不安を解消するために少し多めに買うという行為が広まったことで、普段の需給関係が崩れ、供給不足になったと言える。
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おそらく、同様のことはビジネスシーンでも起きているだろう。誰もが、ナフサ由来の材料が入手できないことでビジネスが止まるのは避けたいと考える。通常の企業活動であれば不要な在庫を持つことはNGだ。
しかし、少しだけ在庫を積み増すことで仕事が止まるのを防ぐことができるのであれば、いつもより多めに調達するのは自然な行動だ。
こうした”マイルドな買い占め”が、さまざまなレベルで起きたことが、ナフサ関連製品の目詰まりと言える状況を生んだと考えるのが妥当だ。