ハイブリッドは走りでエンジン車には勝てないと言い切るレーシングドライバーを納得させたHV3台とは (1/2ページ)

もっとも走りの良いハイブリッドはトヨタ車

ガソリンエンジンにプラスして電気モーターやバッテリーを搭載するHV(ハイブリッド)車は車両重量が増して運動性能面では不利という話をしたばかりだ、それでも時代はHVを求めており多くのユーザーがHVを選択している。

 そんななかで少しでも走りに納得できるHVモデルはないのだろうか。さまざまなHV車に試乗してきて言えることは、HVシステムの完成度はやはりトヨタが一番ということだ。

ハイブリッド

 トヨタのHVシステムの優れているところはクラッチなどの摩擦材を用いず電子制御さえ必要としない機械式の動力分割機構を備えていることだ。

 この機構がエンジンとモーターの発する力を自然に補完しあっている。1997年に登場した初代プリウスから採用されているこのシステムがトヨタHVシステムの肝であり、トヨタの持つ特許の根幹となっているといっても過言ではないだろう。

ハイブリッド

 この動力分割機構のおかげで発進はモーターによるEV走行が可能となり、また高速域ではエンジンを始動させ、モーターをアシストしつつシステム最高出力までシームレスな加速を引き出せる。走行中にエンジンが発電機となったり、モーターが回生したりと自由自在に行えるのだ。

 モーター駆動で発進が可能なのでトルクピックアップが抜群でストップ&ゴーが楽しい。アクセルの踏み加減でエンジンの始動を促したり、EV走行したり思いのままだ。

ハイブリッド

 エンジン、モーター、アクスルが機械的に直結しているので切り替わりに遅れがなくストレスがない。先日発表されたとおりこれからは使用できるようになるが、他社のHVはこの動力分割機構がこれまで特許関係で使えなかったためクラッチで切り替えたり、モーターとエンジンを直結配置してりして苦労し、結果として走りに不満を感じさせられたのだ。

 だからHVで走りの良さを楽しもうとするなら現在はまだトヨタのHVしかないだろう。そのなかでとくに秀逸なのはTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)を採用した最新のモデルがいい。

ハイブリッド

 TNGAの採用でHVバッテリーの搭載位置が低く低重心化され、エンジン+モーターの駆動制御もより成熟した。

 とくにプリウスとカムリの走りは秀逸だ。プリウスは外観デザイン的にアウトと言わざるを得ないが、走りのポテンシャルはなかなか高いものがあった。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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