グループ4時代までのラリーカー・海外編(1970年-1982年)

グループ4時代までのラリーカー・海外編(1970年-1982年)

トラクションを武器にリアエンジン車が猛威を振るう

 前回、WRCが始まる前や、始まって以降もまだまだ初期の段階では、4輪駆動など皆無で後輪駆動が圧倒的な主流派だった、と解説した。そして最もコンベンショナルなパッケージ、フロントエンジン/リアドライブの傑作モデルを何台かも紹介した。さらに、後輪駆動の最大の武器は加速時に、トラクションがより効果的に掛かること、とも。となればリアにエンジンを搭載して後輪を駆動する、一般的にリアエンジンと区分されるクルマのほうがさらにアドバンテージは大きいはず。そんな観点からリアエンジンのクルマを3台、そして同時期に目覚ましい活躍をした前輪駆動のクルマも1台、合わせて4台の、ラリーフィールドにおけるレジェンドを紹介する。

★栄えある初代のWRCチャンピオン★
1970 Alpine Renault A110 1300G

 ルノーの市販モデルをチューニングしてレースに参戦していたジャン・レデールが、やがてルノーのコンポーネントを使ってオリジナルモデルを生み出すことになる。その第一歩となったモデルはルノー4CVをベースとしたA106であり、ドーフィンをベースにしたA108を経て、1963年にはR8をベースにしたA110が誕生している。当初からレースやラリーに顔を見せていたA110だったが特にラリーでは、73年から始まった世界ラリー選手権(WRC)で大活躍。開幕戦のモンテカルロでトップ3を独占すると、その後も得意のターマック=舗装した路面が主体のラリーで勝ち星を重ね、最終戦のツール・ド・コルスもトップ3を独占。全13戦中6勝を挙げて栄えある初代のWRCコンストラクターズチャンピオンに輝いている。

★フランスでさらに爪を研いだフィアットの従兄弟★
1973 SIMCA Rallye I/1973 SIMCA Rallye II

 フィアットをフランス国内で生産するためにアンリ-テオドール・ピゴッジが興したシムカはやがて、独自のモデルをリリースするようになった。フィアット600の初代モデルの基本設計を発展させ、独自の4ドアセダン・ボディに、やはり独自設計で、OHVながらクロスフローのヘッドが特徴の950cc直4エンジンを搭載、1961年に登場したシムカ1000はその好例。スポーティモデルとして追加設定されたラリーは当初、パフォーマンス的には変わりなかったがラリーI、IIと発展していくにつれてチューニングされていき、最終モデルのラリーIIIでは排気量も1.3リッターまで拡大され最高出力も103馬力にまでパワーアップされていた。青いボディは75年式で白いボディは最終年となる78年式。ともにパリ郊外のアヴァンチュール・オートコレクション・ポワシーで撮影。

★ゲルマンのエースはレースもラリーもオールマイティ★
1974-89 Porsche 911 Type 930/1979 Porsche 924 “Safari_Rallye”

 スポーツカーレースで活躍を続けると同時に、基幹モデルの911がギネス級のロングヒットとなっているポルシェ。もはやスポーツカーの代名詞といっても過言でないほど。当然、サーキットでの活躍には枚挙に暇がないが、ラリーフィールドでも活躍していた。それも全輪駆動システムを組み込んだ959ではなくリアエンジン・後輪駆動の911が、だ。ただしロスマンズカラーに塗られた911のワークスマシンも記憶の片隅にあるのだが、残念ながら博物館ではこれまで見かけることがなかった。ターマックでは強さを発揮した911も、グラベル=非舗装路は得意でなく、サファリ・ラリーなどには同門で、同じ後輪駆動ながらフロントにエンジンを搭載した924などが活躍していた。深紅のボディに4連補助ランプが勇ましい930型911は北イタリアのルイジ・ボンファンティ-フィマール自動車博物館で撮影。アニマルガードを装着した924はドイツのジンスハイム自動車博物館で撮影。

★前輪駆動ながらチューニングを施されてマイスターに★
1967 Peugeot 204 Berline Rallye(Rallye East African Safari)/1972 Peugeot 304
Groupe 2
1973年にWRCが始まって以降は、以前に紹介した504がプジョーのワークスマシンとなり75年のサファリでオベ・アンダーソンが初優勝を飾ることになるのだが、それ以前のラリーフィールドでは404のワークスマシンが主戦でコンパクトな204や304が脇を固めていた。65年に登場した204は、プジョーとして初の前輪駆動を採用したクルマで、69年に登場した304は、その上級モデル。いずれにしても、街中で見かけたら何の変哲もない小型乗用車だが、チューニング次第でラリーマシンに生まれ変わる。プジョーが重きを置いていたアフリカのマーケットに向け、サファリ・ラリーやバンダマ・ラリーではワークスの404や504が何度も総合優勝を飾っているが、有力なプライベーターが小排気量クラスで、優るとも劣らない活躍を見せていた。#7の67年式204はプジョー歴史自動車博物館で、ゼッケンのない72年式304は北フランスのマノワール自動車博物館で撮影。

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