【ニッポンの名車】素直な回頭性のパワフルなFR車! トヨタ80型スープラ (1/3ページ)

マッシブな見た目だが先代の70型より低く短くなった

 1989年=スカイラインR32GT-R、1990年=NSX(NA1)、1991年=RX-7(FD3S)と国産スポーツが花盛りの頃、80スープラは、トヨタのフラッグシップモデルとして、1993年に登場。

 直列6気筒の2JZエンジンをフロントに積む、オーソドックスなロングノーズの3ドア ファストバッククーペスタイル。大胆なリヤウイングが目を引いたが、これもダウンフォースと後方視界を両立させた優れもので、空力的にも優秀だった。

 事実、ボンネビルでのナショナル・スピードトライアルで、トヨタ車最速の401.20km/hを記録した80スープラも、フロントバンパーのチンスポイラー以外はほぼノーマルボディでのアタックだった(ウイングはレギュレーションで禁止)。

 ディメンションは、意外にも先代の70スープラよりもコンパクト。全長はマイナス100mmの4520mm、ホイールベースはマイナス45mmの2550mm、全高はマイナス25mmの1275mmで、全幅だけがプラス65の1810mm。つまりより低く、ワイドに、短くなったのが特徴。ホイールベース:トレッド比は1.67なので、スタイリングは高速ツアラーだが、じつはハンドリングマシンの性格が強い。

 前後の重量バランスも、53:47と、現行のトヨタ86(空車時の前後バランス 56:44)よりもFRとして理想に近い。サスペンションは、Z30ソアラと同じ、前後ダブルウイッシュボーンに進化。ターンインが非常に素直で、ワインディングなどでも、1.5トンの車重をさほど感じさせないと好評だった。

 エンジンは、70スープラの2.5リッター直列6気筒の1JZを進化させた3リッター直列6気筒の2JZを搭載。ボア・ストロークが、86mmのスクエアエンジンで、ターボはシーケンシャルのツインターボ(トヨタ流にいうと2ウェイツインターボ)。

 同じ直6のGT-RのRB26DETTに比べ、排気量で400㏄の余裕があるため低中回転のトルクがあり、1997年のマイナーチェンジで、可変バルブタイミング機構のVVTiもプラス。一方、レッドゾーンは7000回転弱で、8000回転までOKなRB26と比べると、かなり性格が違うのがわかる。

 ただし、鋳鉄ブロックで高回転まで回さない2JZは非常にタフで、耐久性の高さは特筆できた。このトルク型エンジンに加え、国産車で初めて、ゲトラグ製の6速MTを採用したのも注目点。

  


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
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