2023年には路面の状況でタイヤの溝形状が変化する商品を発表予定! 【東京モーターショー2017】

住友ゴムはダンロップとファルケンの2ブランドでブース展開

 東京ビッグサイトで開催され、先日終了した「第45回東京モーターショー2017」で、東6ホールに出展している住友ゴム工業は、ダンロップとファルケン両ブランドに分けてブースを展開。東京モーターショー

 未来のモビリティ社会で求められる安全性能と環境性能を、現状よりさらに高い次元で両立するタイヤを開発するための技術開発コンセプト「SMART TYRE CONCEPT」を発表した。

「SMART TYRE CONCEPT」は、安全を支える技術「セーフティー・テクノロジー」と、環境に寄与する技術「エナセーブ・テクノロジー」、さらにそれらを支えるシミュレーションおよび解析技術「コア・テクノロジー」の3つの技術で構成されている。

 今回のダンロップブースでは、「SMART TYRE CONCEPT」の核となる「センシングコア」「アクティブトレッド」「性能持続技術」「エアレスタイヤ」「LCA」の5つの方向性について紹介している。

「センシングコア」は、ブレーキのECUに独自のアルゴリズムを組み込むだけで、タイヤがセンサーに変わる技術。滑りやすさをはじめとする路面状況やタイヤの摩耗状況、荷重、空気圧などを検知し、入手されたデータはその車両を制御するための情報として処理されるとともに、クラウド経由で街、社会の情報に統合されビッグデータとして解析されるそのデータは車両にフィードバックされ、路面やタイヤに起因する危険をあらかじめ察知し、回避することが可能になる。

「アクティブトレッド」は、自動運転化に伴い人が担う部分が減少する一方、自動車側が担う範囲が拡大することを視野に入れた技術。路面に接する唯一の部品であるタイヤが、ウエット路面や凍結路面など路面状況の変化に反応して、ゴムの機能がアクティブ(能動的)に変化することで、路面や気温に適した性能を発揮できる技術の確立を目指したものとなっている。

 その展示モデルは溝が一切なくスリックタイヤそのものだが、トレッドが路面に応じて特性や形状が変化することができれば、常に最高のグリップが得られる究極のハイパフォーマンスタイヤになるだろう。

「性能持続技術」は、タイヤが摩耗することで生じる性能変化を予想できる新技術「Tyre Lifetime Simulation」を活用することで、摩耗と劣化による性能低下を抑制し、新品時の性能を長く持続するもの。

 昨年発売されたスタッドレスタイヤ「ダンロップ・ウインターマックス02」では、ゴムのしなやかさ維持に効果を発揮する高機能バイオマス材料である「液状ファルネセンゴム」を採用することによって高い氷上性能を長期間維持するなど、性能持続技術はすでに実用化されている。

 今後さらに、ゴムの内部構造変化を抑制・修復し、経年劣化により損なわれた機能を補う新材料の開発により、さまざまな面から性能の低下を抑制するべく開発を進めることとしている。

「エアレスタイヤ」については、2015年の東京モーターショーで発表した空気充填不要のタイヤ「GYROBLADE(ジャイロブレイド)」の実用化に向けた技術開発を継続。空気を使わないためタイヤパンクの心配や内圧管理の手間がかからなくなるこのタイヤは今回、トヨタ車体のコンセプトカー「ワンダー・カプセル・コンセプト」に装着されている。

 エナセーブ・テクノロジーを核とする「LCA(ライフ・サイクル・アセスメント)」においては、2013年に100%石油外天然資源タイヤ「ダンロップ・エナセーブ100」を発売して以来、より付加価値の高いバイオマス材料開発に注力。

 独自の新材料開発技術「ADVANCED 4D NANO DESIGN」を採用した「ダンロップ・エナセーブNEXT2」では、低燃費性能とグリップ性能を高次元で維持しながら耐摩耗性能を従来品から51%向上させた。

 今後LCAの観点から、原材料や製品使用時だけではなく、製造、運搬、リサイクルも含めた商品ライフサイクル全体で環境性能をより高いレベルに引き上げ、循環型社会の実現に寄与できる商品の開発を推進することとしている。

 住友ゴム工業は今後、2020年にはタイヤの新品時の性能を長く維持する「性能持続技術」を採用したタイヤの量産化と、LCAの観点から、原材料や製品使用時だけでなく、製造、運搬、リサイクルまで、商品ライフサイクル全体の環境性能をより高めた新材料によるコンセプトタイヤを発表する予定。

 そして2023年には、アクティブトレッドを採用したコンセプトタイヤを発表。さらに2020年代の後半には「SMART TYRE CONCEPT」の技術すべてを採用したまったく新しいタイヤを完成させることを目標に技術開発を進めていく計画を明らかにしている。

 そのほかダンロップのブースでは、今回の東京モーターショーに出品されているコンセプトカーに装着されたタイヤを1カ所に集めて展示。

 ファルケンのブースでは、2015年からサポートしている「Red Bull Air Race World Championship 2017」に参戦しアジア人初のシリーズチャンピオンを獲得した「Team FALKEN」室屋義秀選手の機体模型をメインにしつつ、ヤマハ・クロスハブコンセプトに装着されているタイヤや、「アゼニスFK510」「アゼニスFK453」「ユーロウィンターHS449」などの市販タイヤを展示している。


遠藤正賢 ENDO MASAKATSU

自動車・業界ジャーナリスト/編集

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