決まりかけたデザインを却下し再デザイン! 異例の決断を下した新型トヨタRAV4のデザインへのこだわり (1/3ページ)

SUVのワクドキ感をデザインでも徹底追求

 装い新たに生まれ変わった新型RAV4。1994年の初代誕生から数えて5代目(4代目は日本未導入)となる新型は、エクステリアデザインのたくましさと存在感の強さでは、歴代RAV4でも随一と言えるもの。と同時に、しっかりと洗練された高級感や高い質感も印象的だ。今回のフルモデルチェンジでプロジェクトチーフデザイナーを務めた園田達也さんは、デザイン開発の狙いを次のように語る。

「誕生から25年、サイズの変遷などはありましたが、RAV4の価値は、歴代を通してじつはそんなに変わっていません。街乗りでもアウトドアでも、見ても乗っても楽しいこと。どこかへ出かけたくなるワクワクドキドキを味わわせてくれること。そういうユニークな商品価値がRAV4の魅力です。とはいえ、この25年間でRAV4が開拓したジャンルもずいぶん成熟し、RAV4独自の魅力が少し薄れてきた感も否定できません。新型では、次の25年を戦うためにも、ここでRAV4の商品価値を再定義して、強い独自性を打ち出そうと考えました。いわば、RAV4ならではの個性やワクドキを、再定義しようということです」

 エクステリアのデザインコンセプトは、「アドベンチャー(アクティブで力強いワクドキ感)&リファインド(都会にも似合う洗練さ)」というもの。そのデザイン実現に向け、(1)「ビッグ・フット」(走破性の高さをイメージさせるクラス最大のタイヤ外径)、(2)「リフト・アップ」(どんな悪路でも走破できそうな力強い土台・足まわりを象徴するリフトアップ感とプロテクト機能)、(3)「ユーティリティ」(本格SUVならではのワクドキを感じさせる多用途性と、さまざまなレジャーシーンを想起させるキャビン表現)という3つのポイントを重視した。

 数多くのアイディアスケッチから、初期段階では3つの案を選択。社内の評価会では、どの案も高く評価された。

「違った見方をすると、意見がばらけてしまったとも言えます。実際、われわれデザイナー自身にも、自信を持ってひとつの案を推すことができないという感じがありました」

 3つの案すべてについて1分の1モデルが作製され、本来のプロセスであれば、ここから1案に絞り込み、次のステージへと進むところだ。だが、デザインチームは異例の決断を下した。もう一度、最初のスケッチに立ち戻ってゼロからやり直そうという決断だ。

「この決断はかなりの議論を呼びました。ここまでで相当な時間を費やしていることもあって、普通ならありえない決断です。しかし、開発責任者の佐伯は、異議を申し立てる部署にも『デザイナーに任せてやってくれ。絶対にいいデザインを作るはずだから』と、われわれを全面的に信頼してくれたんです」

 これからの25年を戦うためにも、新型RAV4には突き抜けた魅力が必要だ。そのためには、優等生的にまとまったデザインといったレベルでは許されない。とことんまで振り切ることが必要だ。そんな強い想いゆえの決断だ。


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