10年以上改良なしの放置プレー車も! 4年ごとが定番だったフルモデルチェンジのサイクルが伸びているワケ (1/2ページ)

そもそもフルモデルチェンジは商品力を維持する目的

 20世紀の国産車は、いまでは考えられないほどハイペースでモデルチェンジを繰り返していた。4年ごとのフルモデルチェンジ、2年目にマイナーチェンジというのが当たり前といった状況だった。そのため、どのタイミングがクルマの買い時になるかということは悩ましかったし、自動車雑誌などで研究したものだ。しかし、最近はフルモデルチェンジのサイクルがずいぶんと伸びている。

 そのかわり、毎年イヤーモデル的に改良を加えて、新鮮味を維持するような傾向にある。なぜ、モデルチェンジのサイクルは伸びているのだろか。たとえば、トヨタのラインアップから、そうしたご長寿モデルをピックアップしてみよう。

エスティマ 2006年
プレミオ/アリオン 2007年
ランドクルーザー(200系) 2007年
ヴィッツ 2010年
アクア 2011年
カローラアクシオ 2012年(2019年にFMC予定)
86 2012年
ポルテ/スペイド 2012年

※いずれも現行モデルの登場年

 このなかでも、驚くほどデビュー年次が古いのがエスティマだ。その発売は2006年1月だから、初期モノは13年経過の「旧車増税」の対象になってしまうほど。途中のマイナーチェンジでフェイスリフトを果たしているとはいえ、新車で売っているのと同じクルマが旧車増税を課せられるというのは、ご長寿にもほどがあると感じるのではないだろうか。

 では、エスティマはなぜフルモデルチェンジをせずに、13年にも渡って作り続けられているのか。端的にいえばフルモデルチェンジをする必要がなかったからである。一般にフルモデルチェンジというのは商品力を上げることが目的であり、それは商品としての新鮮味を保つためといえる。その点において、エスティマには明確なライバルがおらず、エスティマとして熟成していくことが商品力につながるという状況にある。

 さらにいえば、エスティマ的なシルエットのミニバン市場は、それほど大きくない。フルモデルチェンジをして市場を拡大するよりは、モデルチェンジをしないことでコストをかけずに現状の市場を確保していったほうがビジネスとしては賢いという見方もできる。

 ほぼ同じことがいえるのがアクアだ。こちらも同セグメントのハイブリッド専用車としてはライバル不在で、ブラッシュアップすることで燃費性能についてもトップランナーで居続けている。もちろん、安定した販売実績もある。あえてフルモデルチェンジをする必要はないのである。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

愛車
スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
趣味
モトブログを作ること
好きな有名人
菅麻貴子(作詞家)

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