日本市場は見捨てられた? 輸入車がわずか4ブランドしか東京モーターショー2019に出展しないワケ (2/2ページ)

SNSで発表したほうが効果的と判断するメーカーも

 プロモーション的な視点でいうと、モーターショーというリアルの場が持つ価値が下がってきていると世界中の自動車メーカーは判断している。そのため、日本の自動車メーカーでも海外ショーからは撤退気味だ。東京モーターショーがオワコンなのではなく、情報発信やブランディングという視点でいえば、モーターショーというイベント自体がオワコンになっているのが現実だ。

 それであれば、何億という予算をかけてブースを作り、コンセプトカーを用意するよりも、同じ予算でSNSなどを利用して情報発信をしたり、ユーザー向けイベントを開催してロイヤリティを高めていったりしたほうが、ブランド力につながるのが現代のプロモーションであろう。ちょっと前まではモーターショーに出展しないことがブランドにとってマイナスに感じられることもあったが、そうした感情はユーザーレベルで消えている。それだけモーターショーの情報価値が下がっているといえる。

 ただし、ティザーサイトやSNSでのプロモーションが届くのは、ある程度自動車に興味を持っている層に限られる。自動車に関心を持つユーザーが減っていくと、そうしたインターネットを利用したプロモーションも刺さらなくなる。その意味では、現代のモーターショーというのはジュニア層を未来のクルマファンとするための「種まき」の場となりつつあると捉えるべきだ。東京モーターショーが高校生以下を入場無料(小学生以下は保護者同伴)としているほか、小学生向けの社会科見学にも対応しているのは、そうした狙いがあるからだろう。

 また、自動車関連の専門学校/高等専門学校の学生も入場無料だ。東京モーターショーに外国ブランドの出展が少ないのは、現状の日本市場においては実を刈り取るのに精一杯で、他国の種まきまで手伝えないということなのかもしれない。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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