レーシングドライバーが語る! 理論に基づいた本当に燃費を稼げるエコドライブとは (2/2ページ)

アクセルはわずかに踏んだ状態でシフトチェンジをする

 こうしたことを理解し、シフトチェンジのときもアクセルは全閉にせず微妙に開いて吸気エアの流れを遮断させないようにし、また踏み込む際にも燃料を増加する加速ジェット制御がかからないようにゆっくり踏み込むなどのテクニックを用いる。

 F1のレースシーンを見ていると直線の最後にアクセルを戻してコースティング(慣性走法)しているのがわかる。最高回転数で走る際にアクセルを微妙に戻し、ガスを薄くして燃費を稼いでいるわけだが、車速が高く大きな慣性力がかかっているので速さは大きく犠牲になっていない。こうしたコースティングを多用することも燃費を稼ぐのに重要だ。

 ポルシェ911は、PDKのトランスミッションにコースティング制御を取り入れていて、一定車速以上でアクセルを微妙に戻すとエンジンがアイドリング状態となり、惰性で走る状態を作り出せる仕組みを与えられている。

 また、慣性の法則から車速を変化させることが、もっとも大きなエネルギーが必要になり燃費を悪化させることもわかる。もっとも大きな慣性力がかかっているのは停止している状態で、走り始めが一番燃料を消費する。赤信号のたびに止まるのは燃費にとって非常に悪く、車速を落としてでも青信号になるのを待って、止まらずに通過できるよう速度調節することは、アイドルストップよりも燃費効果が高い。

 高速道路では車速を一定にし加速や減速を繰りかえさないようにする。そしてコーナーではステアリングを切り込むと舵角抵抗が増えて燃費を悪化させる。できるだけステアリングの操作を少なくしてコーナリングできるよう、車速とライン取りを探る必要がある。

 サーキット走行やレースのときはもちろん、日常的にもこのようなドライビングテクニックを駆使し、スムースで速くて燃費もよく走れるドライバーになってもらいたいものだ。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
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海外巡り
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クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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