歴代モデル10台を乗り継いだマニアが喝! 自腹で買った新型カローラのマイナス点5つ (2/2ページ)

進化したがゆえ不便になってしまった部分も

3)下取り価格が期待薄!

 昭和の時代、世のなかには「ファミリーセダン」なる言葉もあり、カローラサイズの小型セダンが新車販売の主流であった。そしてカローラは昭和時代ベストセラーカーの名を欲しいままにしていた。平成に入ってミニバンが台頭してくるまでは、カローラの販売台数は非常に多く、そのため中間グレードの売れ筋ボディカラー(スーパーホワイトⅡ)となれば、初回車検が来る前の下取り査定額が新車時販売価格の3分の1までに下落してしまうこともあった。

 しかし筆者の経験では9代目から状況が一変する。日本の中古車市場でセダン自体が希少化するなか、海外への中古車輸出が盛んになって海外バイヤーの動きが目立ってくると、カローラでも5年近く乗っても下取り査定や買取査定額が高く、好条件が出るようになったのである。

 ただ、見た目はほぼ同じだが日本だけ5ナンバーサイズとなった10代目や、国内専用ボディとなった11代目ではリセールバリューの伸び悩みが目立った。

 詳細は不明だが、いまや中古車相場を支えているともいっていい海外バイヤーの反応が、国内専用仕様ということで鈍ってしまったようである。グローバルモデルと共通となると聞いていた12代目だが、やはり日本仕様だけ全幅が狭く、全長の短い国内専用ボディとなっている。いままでの流れを見ると、12代目もリセールバリューの伸び悩みが気になるところである。

4)進化が少々行き過ぎ!?

 トヨタ車で初採用とされているのがディスプレイオーディオ。コネクティビティ機能も充実しているのだが、筆者はCDが再生できないのが非常に残念であった。

 販売現場で聞いてみると、「3代目プリウスに乗っている年配のお客様に新型カローラへの代替えを勧めた同僚がいたのですが、まずオンダッシュタイプのディスプレイに抵抗を示されました。長年2DINサイズのインダッシュタイプに慣れてきているからだそうです」とのこと。

 日本国民全員がスマートフォンを使いこなしているわけではないし、ましてや全員が所有しているわけでもない。スマホありきのような装備の積極採用を否定するわけではないが、かつては「国民車」と呼んでもいいぐらい売れていたカローラにしては、選択肢が限定されるように見える動きは、いささか配慮に欠けているのではないかとも感じた。

5)カローラらしさをあまり感じなくなった

 筆者はいままで10台のカローラを乗り継いできたが、乗り換えるたびに「ああこれがカローラだよね」と体感できるクルマ造りがされており、すぐに馴染んだ。仮に実車を見なくても思ったとおりのモデルが納車される、それがカローラであった。11代目ではヴィッツベースなどと言われたこともあったものの、内外装からはカローラらしさを強く感じ取れた。だからこそ、グローバルモデルとは車名以外共通項はなかったが、すんなり代替えを決意できたのだ。

 12代目では新しい時代のカローラ像を求めて、あえて継続性と言う部分を薄めて開発したのかもしれない。筆者のように代々乗り継ぐユーザーなどは限定的なのかもしれないが、進化ぶりなどに感心する一方で、どこか寂しさも感じてしまった。

 百年に一度の変革期といわれる自動車業界。日本国内でのファミリーカーは軽自動車やコンパクトカー、ミニバンなどとなったいま、「大衆車」から完全なる決別宣言をしたかのように見える新型カローラセダンとツーリング。

 長年つきあってきたユーザーとしての筆者も、基本的にはその流れは歓迎したい。ここで紹介したものも目くじらを立てて不満だと述べるレベルのものではない。進化ぶりにいまひとつついていけない筆者の愚痴や、寂しさ程度のものともいえよう。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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2019年式トヨタ・カローラ セダン S
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渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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