トヨタRAV4だけがなぜバカ売れ? ライバルのスバル・フォレスターやホンダCR-Vに足りないものとは (2/2ページ)

クロスカントリーらしいキャラクターはTNGAで実現した!

 そのクロスカントリー性能を支えるのが、TNGAと呼ばれる新プラットフォーム。トヨタ最新の基本部分の仕上がりの良さは、カムリなどでも証明されている。さらに、新型RAV4では3種類ものAWDシステムを用意し、ユーザーの使い方に合わせた選択が可能なのも、価格帯を含め、セールスポイントになっているはずだ。

 なかでも、新型RAV4のキャラクターをより色濃く反映した、2リッターガソリンのアドベンチャーグレード、およびG Zパッケージにのみ組み合わされる4WDシステムこそ、世界初、新型RAV4のために開発された「ダイナミックトルクベクタリングコントロール」。

 後輪左右のトルクを別々に制御(0~100)するトルクベクタリングコントロールと、4WDを必要としない場面で後輪への動力伝達を切り離し、燃費を向上させるディスコネクト機構を備えた、じつに凝ったメカニズム。オンロード、オフロード両方での抜群の曲がりやすさ、走りの気持ち良さを実現しているのだ。ついでに言えば、2リッターガソリンを高回転まで回したときの快音も、個人的には大好きである。

 そうしたクラス最高レベルの悪路走破性の高さと曲がりやすさ、走りの良さを「ダイナミックトルクベクタリングコントロール」を含む機能面で大きくアピールできているのも、新型RAV4の絶大なる強みと言えそうなのだ。雪国のユーザーはもちろん、アウトドア派にも、そのあたりのハイレベルな性能が選択の決め手になるはずである。

 そしてライバルにない決定的な先進コネクテッド機能が、オプションのTコネクトナビゲーション装備による3年間通信料無料の通信機能=ナビの設定などをオペレーターが通信で行ってくれる「オペレーターサービス」、およびエアバッグが展開するような事態で、乗員が専門オペレーターの呼びかけに応じない場合に救急、消防への通報を行ってくれる「ヘルプネット」だ。

「ヘルプネット」はあおり運転被害にあったときの対策にもなる安心機能として、いま注目されているところでもある。DCM=車載専用通信機(SIM)が全グレードに標準装備されているあたりは、ライバルに対して絶対的な優位性をもたらしていること間違いなしである。

 さらにアドベンチャーグレードのみとはいえ、アウトドア派にぴったりのアーバンカーキ×アッシュグレーメタリックや、ビーチリゾート派に最高のシアンメタリック×アッシュグレーメタリックといった、ライバルにない魅力的なボディカラーが用意されているのも、新型RAV4人気を後押しする要因と思える。個人的にも、このクラスでRAV4がもっともカッコいいと思っているのも本当である(上記の2色。モノトーンだといきなり地味)。

 整理すると、新型RAV4に対して、フォレスターやCR-Vに足りないものは、クロスオーバーSUVにそろそろ飽きてきた人たちにもアピールする、クロスカントリーモデルらしい独自のキャラクター、存在感、カッコ良さ、存在感を引き立てるボディカラー、そしてダイナミックトルクベクタリングコントロールに代表される、悪路走破性の高さイメージできるキーワード。さらにはこうしたジャンルのクルマにも不可欠と思える、スマホ接続不要のオペレーターサービスとヘルプネットの存在だろう。古くからのRAV4ファンならずとも、魅力的に感じられ、売れて当然なのが、それらをすべて備えている新型RAV4というわけだ。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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