【試乗】VWゴルフ&シャランに待望のディーゼル搭載! 物足りなさはあるもののベストバイな仕上がり (2/3ページ)

シャランはエンジンとDSGのマッチングが気になる

 まずはシャランから。昨今、ミニバンはクロスオーバーSUV人気に押され、かつてほどの勢いはなくなっているが、依然日本市場の主力カテゴリーであることは間違いない。しかし、モデルバリエーションは縮小傾向なのも事実だ。とくにボックス型ではないミニバンは壊滅の危機で、ホンダ・オデッセイと並んで“最後の砦”となる存在と言えるだろう。

 搭載されるエンジンはほかのVWと同様に直列4気筒の2Lディーゼルターボだが、エンジンの特性は各々のモデルのキャラクターに合わせて最適化されている。ちなみにシャランは中間のスペックとなる177馬力/380Nm。ちなみにガソリン(TSI)は1.4Lターボで150馬力/250Nmなので、パワーは18%、トルクは52%アップだ。トランスミッションは湿式の6速DSGとなる。

 TSIと比べると出足の良さや絶対的な力強さは、「やっぱりミニバンはディーゼル!!」と感じるものの、ライバルの2Lターボディーゼルと比べてしまうと、よく言えば「穏やかな特性」、悪く言うと「パンチがない」のが気になった。

 具体的には1800rpmから力強さを増していくエンジン特性と6速DSGのマッチングが今ひとつで、巡航してしまえば気にならないのだが、ストップ&ゴーやタウンスピードからの再加速などではトルクバンドを外してしまい、「このエンジンパフォーマンスでこの車両重量ならば、これくらいの加速をしてくれるはず」といった期待値には届いていないように感じた。もちろん、アクセルをさらに踏み込めば即座にシフトダウンしてくれるが、ミニバン用として使うならもう少しディーゼルの粘り強さが欲しい所である。

 また、静粛性は最新のプラットフォーム(MQB)採用のほかのモデルと比べるとエンジンノイズは大きめだが、エンジンサウンド自体は軽やかな音質なので、巡航/加速時ともにあまり耳障りには感じることはなかった。

 フットワークは初期モデルに対して進化・熟成は行われているものの、ボディのシッカリ感や不整路面で若干ドタバタする足の動きなど基本設計の古さを感じる部分もあるが、ミニバンらしいドッシリとした落ち着きの良さと操作に対するクルマの動きは穏やかだが、ミニバンらしからぬ軽快なハンドリングは今も健在である。

 乗っていると低重心な感じはあまりしないものの、4つのタイヤがシッカリと働いているので無理して曲がっている感じがなく、コーナリング時も不安な感じは一切ないし、ひとり乗車なら下手なスポーティカーよりも気持ちよく走らせることも可能だ。この辺りは日本で発売されるスライドドア採用のミニバンのなかでは依然トップレベルであり、ミニバンでもVWらしさを失っていないことを実感する部分だろう。

 もちろん、日本のミニバンのように押し出しの強いフロントマスクやリラックスモードのようなシートアレンジ/調整、気の利いた装備などはないが、シンプルながらしつらえの良さと機能性の高さ、どの席に座っても正しい姿勢で座ることが可能なシート、ミニバンを感じさせない走りの良さ、そしてディーゼルの旨み……と、日本のミニバンに飽きた人にぜひ一度乗っていただきたいモデルだ。


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