スズキの東京モーターショーへのEVやPHEVのコンセプトカー出展はトヨタとの関係強化の現れか? (2/2ページ)

本格的な技術交流は今後のモデルに期待!

 そうした伏線を、これらコンセプトカーで回収したと考えるのは早計だ。

 まずワクスポのPHEVシステムについて。ほとんど情報が出ていないが、インテリアのイメージ映像のなかに大きなヒントがあった。クーペモードのインパネにハイブリッドシステムの作動状態を示す表示が描かれていたのだ。これを見る限り、エンジンは駆動を担わないシリーズハイブリッドをベースとしたプラグインハイブリッドシステムのように見える。

 また、駆動系は前後にモーターを置いた四輪駆動を示していた。システム作動状況からするとリヤモーターは常時駆動に近い制御をしている模様で、トヨタの影響というよりもスズキ独自のシステムと考えるほうが妥当だ。もっとも、コンセプトカーのPHEVシステムについて明言していないというのは、将来的には量産効果の期待できるTHSを、トヨタから供給を受けることで採用するという含みを持たせるためという面も否定できない。

 もう一台のハナレについても、前述のようにインホイールモーターを四輪に配することで“前後”という概念をなくした自在な移動を実現しているのが特徴。小型のインホイールモーターを使ったコミューターというアイディア自体は珍しいものではないが、だからといってトヨタから供給を受けるという種類のハードウェアでもない。こちらもスズキが独自に研究しているパワートレインと考えるべきだろう。

 とはいえ、実際にこうした電動モビリティを量産するとなるとバッテリーの開発や安定供給といった課題が出てくる。その際に、トヨタの仲間(アライアンス)になっていることで解決できる部分も多いはずで、スズキの電動化プロジェクトがアライアンス効果を前提としていることは間違いないだろう。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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