1カ月で受注2万台超え! デカイだなんだと言われるトヨタ・カローラが11年ぶりに登録台数トップに輝いたワケ (2/2ページ)

若者はそもそもカローラをオヤジグルマだとは思っていない

 ボディサイズが大きくなったというのは、先々代ごろから言われていたことであり、この時点でボディサイズの拡大に難色を示していたユーザーは、パッソなどコンパクトハッチバックへと移行している。かつてファミリーカーと呼ばれていたころから親しみを感じる世代も、セミリタイヤやリタイヤ層となっている。

 それらのユーザーが求めるマイカー像は、実用性より、趣味性や格好良さとなっている。いままでは仕事(社会的地位)や家族のことを考えて選んでいたマイカーも、そういうしがらみがなく、自分(あるいは夫婦)の思いのままに選ぶことができるようになったので、そのような世代に対して格好よくなったカローラの訴求効果は高いはずである。

 先代は今回とは逆にカローラのメインユーザーへ“どストライク”なクルマとして開発して投入した。一方、肝心のその世代にウケていたのはSUVや2ドアクーペ、オープンカー、あるいは孫家族とのドライブなどを想定して、アルファードなどの大型ミニバンなど。マイカーの選択は多岐に渡っており、販売現場を悩ませたとも聞いている。そして、いまだにカローラを語るときに“大衆車”だとか“ファミリーセダン”という目線で語るのは「古い世代のひとたち」となっているのも現実といえよう。

 2000年にデビューした9代目でステーションワゴンには“フィールダー”というペットネームがつけられた。そしてCMキャラクターにはキムタクこと木村拓哉さんが採用された。日本での10代目にあたり、フィールダーでは2代目にあたるモデルでも木村拓哉さんが再びCMキャラクターとして採用された。さらに11代目でもCMキャラクターを務めていた。そのため、“大衆車”というイメージの強い古い世代に対し、若い世代はカローラにファミリーカーというイメージは抱かず、“キムタクがCMしていたクルマ”ということで、とくにフィールダーには好意的なイメージを持つようになった。

 そして満を持しての今回の新型のデビューである。セダンとツーリングに関しては、1.2リッターターボは6速MTのみとなっている。“オジさん世代”ではその設定に懐疑的な眼差しを向けるひともいるが、若い世代には、そのこだわりのラインアップが刺さっているようで、カローラシリーズのさらなるイメージアップに成功しているとのこと。

 残念ながら全体で見れば、いままでのカローラユーザーの年齢層はかなり高い。世の中では高齢ドライバーの事故が大きくクローズアップされ、“運転免許の返納”が声高に叫ばれている。また消費税率の引き上げなどでの維持費の負担増なども加わり、高齢自動車ユーザーの“マイカー離れ”も目立ってきている。

 そうしたなかでは新しいカローラユーザーを積極的に呼び込もうとするような、今回のカローラのモデルチェンジはまさに大英断と呼んでいいだろう。どこまで狙ったかはわからないが、若い層に人気のあるトップ俳優を長い間CMに起用し、若い世代ではカローラに対するイメージアップにも成功している。カローラ生誕100年の時も現役モデルがあるなかで迎えるためにも、今回のモデルチェンジは間違いのない選択だったといわれるように是非なってほしいと願うばかりである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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2019年式トヨタ・カローラ セダン S
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渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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