【新型インプレッサの魅力と実力】ベテラン&若手編集部員が雪ありワインディングありの1000km超ドライブで斬る! (3/3ページ)

狭い道や夜間の走行でも安心の要素が多数!

「視界の良さが正しい運転姿勢につながり、疲労感が少ない」石田

 せっかく東北まできて、ただ走り回るだけというのももったいない。雪道も堪能できたことだし、多少のご褒美はあってもいいのでは……撮影スタッフ全員で話をし、人生でまだ行ったことがないという最若手の乾の意見で行き先が決まった。秋田県だ。田沢湖、そして角館、さらには男鹿半島まで巡ってみようということになり一路秋田へ向かう。過去の幾度にもわたる長距離移動の撮影経験からいえば、こんな思いつきで足を伸ばしてみたくなるのにも、長時間の運転では知らずに蓄積する疲労が少ないことが影響している。疲れていればなんとなくスタッフ全員、ただ泊まって帰路につこう、という流れになるのだ。そしてこの疲労は、クルマのGT性能如何によって大きく左右されることも先刻承知だ。期せずして、インプレッサの長距離移動でも疲労が少ないというロングツーリング特性に気がつかされる結果となった。

 さて、私自身、夏にしか秋田に行ったことがなかったため、密かに雪の角館に期待していた。しかし残念ながら降雪がなくそんな情景には巡り会えなかったものの、雪混じりの田沢湖や男鹿半島という、これまで体験したことのない美しい景色を目の当たりにすることができた。

 そしてちょっとした観光のつもりで訪れた秋田県でも、新たなインプレッサの魅力に気がつかされた。田沢湖周辺や男鹿半島の山中に登る道はそもそもが狭い。そこにきて微妙な雪交じりとなると路肩寄りに雪が溜まり、車線が目一杯使えずにかなり狭い道を走行している状態になる。そんな状況下で求められる性能は、優れた視界、見切りのよさだ。少しでも視界が気になると、無意識のうちに前を覗き込むような姿勢となり、かなり疲労が蓄積してしまう。だがインプレッサにはそういう側面がなく、正しい運転姿勢のまま走り続けることができた。

「ワインディングではWRXと同じベクトル上にあることを実感」乾

 人生初、念願の秋田県へ。角館に到着しクルマから降りると、インプレッサのデザインが洗練されていることを改めて感じさせられる。日本の様式美ともいえる武家屋敷の美しい景色にクルマが映え、それはSNSにアップしたくなるような光景だった。

 途中、山道を走らせる機会にも恵まれた。ここまでの旅路で、このクルマはステアリング操作に対する動きがクイックすぎないところが運転しやすいと感じていた。スタッドレスを履いていることもあり、正直ワインディングでの走りの楽しさは、スポーツモデルほどには期待していなかった。しかしその走りは想像を大きく上まわった。もちろん冬タイヤであるためムリはできないものの、コーナリングでの安定感、思いどおりのラインをトレースする軽快な走りは、WRXと同じベクトル上にあることを実感! 万人が運転しやすい味付けでありながら、ここまでスポーティな走りを楽しめるとは驚いた。SUBARUの「走る愉しさ」はエントリーモデルのインプレッサも例外でなく、全車共通であることを実感した。

 加えて夜間の視界の良さにも驚かされた。インプレッサにはヘッドライトをオンにすると常時ハイビームとなり、先行車や対向車がいる場合は前方車両にかかる部分だけを遮光する「アダプティブドライビングビーム」が採用されている。慣れない道での夜道の運転はどうしても力が入るもの。しかしこの機能によってつねに最良の視界が確保されるうえ、切り替えの手間がいらないため余計な神経を使わず、リラックスして運転することができた。

総括! インプレッサの魅力とは

「インプレッサはコストパフォーマンスが抜群」石田

 短い時間ではあったが、インプレッサで秋田を堪能し、仙台付近のワインディングをまわってから帰路についた。2リッターNAということもあり、ワインディングではどうか、と思ったが、必要十分。大人2乗+2名分×2泊程度の荷物を搭載している状態で登ったが、身体がシートの押しつけられる加速というワケにはいかないものの、上りで「もう少しほしい」ということはなかった。これにはシッカリとトルクバンドを捉えて放さないCVTのセッティングも大きく影響を及ぼしている。じつはCVT嫌いの私だが、あらためて長時間乗ったリニアトロニックの感触はけっして悪くない……いや、好印象をもった。2リッタークラスどころか、ハイパワーな2リッターターボにさえCVTを組み合わせるなど、CVTにこだわって開発してきたSUBARUだけのことはある。

 さて、帰路のステアリングを握りながら3日間乗り倒したインプレッサだが、コストパフォーマンスは抜群といえよう。安全面、運転支援の面で、進化度合いが極まった感があるアイサイト・ツーリングアシストを装備し、雪道でも圧倒的なパフォーマンスを誇るAWDで270万円だ。そもそもそうした「プラス要素」の前に、SGPをベースにした基本性能の高さがあり、さらにはどんなシーンで乗り続けても楽しさが感じられる「走りの味」までもが実現されている。何十年、毎日食べ続けても飽きない美味しいブランド米にでも例えればいいだろうか。

 マイナーチェンジでさらに深まったインプレッサの魅力が存分に感じられた試乗だった。

「遠くへ行ってみたくなる……乗る人の行動範囲が広がるクルマ」乾

 もうひとつ、この旅で痛感させられたのがこのクルマの使い勝手だ。取り回しが良いサイズに収めながら、広く確保された室内や荷室のバランスがちょうど良い。途中同行するスタッフの全員の荷物をすべてインプレッサに積むシーンもあったが、ハッチバックの大開口部は大きなカメラバッグなども載せやすく、なにより容量が素晴らしい。

 また運転を交代しながらさまざまな場所に行くうえで、運転席、助手席ともに電動パワーシートになっていることも有り難い。手動に比べて微細な調整ができるため、運転席で自分の納得がいくドライビングポジションがとれることは周知のとおり。加えて運転席でも助手席でも、走行中に加減速やコーナリングGがかかっているときでも調整できるため、走り出してから「ちょっとポジションが違ったかな」と感じても問題なし! 頻繁なドライバー交替が苦にならなかった。

 総じてインプレッサは良いクルマだ。それはただ乗りやすい、扱いやすいだけではない。このクルマに乗って色々な場所へ足を伸ばしたい、もっと遠くへ行ってみたいと思えるような魅力があった。エントリーモデルであっても妥協のないSUBARUらしい走りや、トータルバランスの高さが寄与しているのだろう。このクルマを所有したらどんな未来が待っているか? 行動範囲が広がり、日々の生活がもっと楽しく、もっと豊かになるのが想像できる。

主要諸元表

試乗車:インプレッサSPORT 2.0i-S EyeSight
全長×全幅×全高:4475mm×1775mm×1480mm
ホイールベース:2670mm
最低地上高:130mm
車両重量:1400kg
乗車定員:5名
最小回転半径:5.3m
エンジンタイプ:水平対向4気筒DOHC
エンジン型式:FB20
総排気量:1995cc
最高出力:113kW(154ps)/6000rpm
最大トルク:196N・m(20.0kgf・m)/4000rpm
JC08モード燃費:15.8km/L
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
トランスミッション:リニアトロニック(CVT)
サスペンション形式:ストラット(前)・ダブルウイッシュボーン(後)
ブレーキ形式:ベンチレーテッドディスク(前後)


乾ひかり INUI HIKARI

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愛車
スバル・インプレッサWRX STI(GRB)
趣味
ひとりドライブ旅、読書、音楽鑑賞(ライブ参戦)
好きな有名人
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石田貴臣 ISHIDA TAKAOMI

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愛車
トヨタ・エスティマ(MCR30)
趣味
読書(ミステリーが主)、TVでのサッカー観戦(バルサ/PSG/アルゼンチン代表/UCL全般)、映画鑑賞
好きな有名人
リオネル・メッシ、アラン・プロスト、綾辻行人、有栖川有栖、田中 瞳

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