【レーシングドライバーの答えは?】レーシングカートでクルマの運転は上達するか (1/2ページ)

1対1のギヤ比でダイレクトなステアリングフィールが得られる

 レーシングカートとは遊園地にある「ゴーカート」とは一線を画し、本格的な4輪のレーシングテクニックが体験できるモータースポーツ最底辺にある乗り物だ。実際にレーシングカートからレーシングドライバーへとステップアップしたドライバーは多い。僕自身も15歳の時にレーシングカートを始め、現在にも通じるレースのイロハを多く学んだ一人だ。

 多くはスチール製のフレームに単気筒(100ccが一般的)の空冷2サイクルエンジンを搭載し後輪2輪を駆動する。車体中央部にドライバー(カーターと呼ぶ)が搭乗し、左足にブレーキ、右足でアクセルを操作する。ステアリングはリンクで前輪に直結される1対1のギヤ比で、ダイレクトなステアリングフィールが得られるのだ。

 エンジンとフレームを含め全体重量としては60kgほどで、ドライバーが搭乗して120kg前後の総重量となる。このことからわかるようにドライバー自身がカートにとってもっとも重い積載物となり、乗車位置によりカート全体の重心位置が変化することになる。

 フレームにはサスペンションがなく、ホイールがダイレクトに装着され、わずかなフレームのしなりがサスペンション機能として4輪のロードホールディングを左右するのだ。駆動輪は左右を1本のシャフトで繋がれていてデフロック状態。そのため内輪差を解消できず、スムースに旋回するには外輪を滑らさなければならない。それはパワースライド走行に繋がり、レーシングテクニックの基本ともなり得る。

 前後に異サイズのスリックタイヤを装着し、前輪の動きはすぐ足もとにあり観察できる。ステアリングを切り込んだときにタイヤのスリップアングルがどれほど付き、それにより操舵力がどう変化するのかなども知ることができるのだ。そしてこれはカートだけではなく4輪へとステップアップしてからも役に立つわけだ。

 フレームとタイヤ、エンジンだけのカートゆえセッティングの幅が少ないように思えるが、じつは工夫次第でさまざまなセッティングを試すことができる。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
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海外巡り
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