【試乗】悪路に強い三菱RVRがもたらす安心感! SUVブームだからこそ見直すべき走りとは (1/2ページ)

ゆったりしたロングドライブに似合うキャラクター

 なぜいまSUVが流行っているのだろうか? 販売現場やメーカー、はたまたオーナーの声を聞く限り、走りと積載性、居住性などのバランスが取れている「マルチに使えるクルマ」というイメージ、ミニバンやワゴン系軽自動車、コンパクトカーなどに比べて洗練されたイメージがある点などが、その理由として語られる。もちろん、そこまで確固とした狙いがなくクルマを選ぶ人にとっては、人気が高いものを選んでおけば間違いないという考えに至り、だからSUVが売れる、というサイクルに入っていることもあるだろう。

 だが、当然SUVにはシッカリとツール然としたメリットがある。そうはいっても百花繚乱状態のSUVゆえ、車種によってではあるのだが。そんなSUVならではのよさを、今回三菱RVRに乗って感じた。えっ? RVR? エクリプスクロスじゃなくて? なんて声も聞こえてきそうだ。確かにスバルと双璧を成す4WD王国の三菱にあって、やや影が薄いモデルであることは否めない。

 だが、初代が1991年に登場し、一時途絶えるも、30年に渡ってその名前を維持してきたクルマだ。ましてやSUVのなかでも、今流行のクロスオーバーSUVとしてのポジションを最初からキープしてきたモデルである。他モデルの影に隠れるのはなんとも寂しすぎる、というわけで、今回少し遠出をし、RVRは本当に注目されずにいていいクルマなのかを考えてみた次第。

 結論から言ってしまえば、RVRはもっと注目されるべきクルマであった。では詳細をお伝えしよう。

 東京都内を出発し、二泊三日で長野県を巡るというスケジュールのちょっとした取材旅行。場所もそうだが時期的に微妙なため、タイヤはスタッドレスをチョイスした。出発時点の登場はシトシトと雨がふり、路面はウエットだ。首都圏に在住のクルマ乗りはご存じのことと思うが、首都高速は曲がりくねった上に路面は荒れ、ある意味クルマの評価にはもってこいの道路である。たかだか60km/hという制限速度でも、4輪がギャップやアンジュレーションに晒され、クルマによっては安定感を損なう。

 そんなシーンでのRVRはゆったり感を伴う乗り味で、ドライバーに忙しさを感じさせない。路面追従性に優れたスポーティモデルの安定感とは違うが、誤解を恐れずにいえば多少のギャップをギャップと感じさせないようないなし方をする。ウエットゆえに、低速でもコーナリング中の継ぎ目ではわずかにタイヤが外側へとスライドするが、それさえもゆとりをもって対処できるような懐の深さがある。簡単にいえばシャープではないが動きが掴みやすい。シャープでないからといって、ステアリングのセンター付近が甘かったり、切り出し時のノーズの動きが緩慢だったりはしないのでご安心を。

 じつはドライバビリティに優れたスポーティな走りをこよなく愛する私なのだが、こうした乗り味もまた、アリなのだなと感じさせられた。着座位置&視界の高さ、運転席から感じられる雰囲気と走りのテイストがマッチしているからなのだろう。自然とガンガン走るというより、ロングツーリングを楽しもうという気分にさせられた。

 搭載されるエンジンは1.8リッターのNA。そう、いまでは結構珍しいといっていいNAエンジンなのだ。エクリプスが1.5リッターのダウンサイジングターボと2リッターディーゼルターボをラインアップするため、このあたりも大きな違いだ。このエンジン、決してパンチはないが、日本の道なら必要十分。NA特有のおだやかな特性で扱いやすく、実際2名乗車+カメラ機材や2泊2名のスーツケースを積んだ状態でも志賀高原を上まで登ったのだが、とくに不足は感じなかった。

 組み合わされるトランスミッションはCVT。エクリプスクロスの8速ATに比べて少し寂しい感じがするかもしれない。確かにダイレクト感などを考えれば8速が有利だろう。だがこのCVT、6速のMTモードが用意されており、たとえば高速走行中に前が近づいたシーンや、ワインディングでコーナーに進入する際、パドル操作でシフトダウンをしたときのエンジンブレーキの利きが非常によかった。そういった意味ではドライブをイージーにしてくれるのだ。


石田貴臣 ISHIDA TAKAOMI

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