AT限定免許じゃ味わえない! 軟弱者拒否のMTしか選べなかったクルマ5選 (1/2ページ)

一定以上の腕力がないと扱いきれない硬派なモデルも存在

 依然としてMT車は少数派ながら、今もなお世代を問わずクルマ好きからの支持は根強いものがある。トヨタやマツダなど、最近になってMT車の展開に積極的な姿勢を見せてくれているのは、窮地に立たされるMT派にとって朗報だ。しかし、過去には「MTしか選べなかった」という硬派なクルマがけっこう存在した(一部現在進行形)。

 そこで今回は、トランスミッションの選択肢がMTしかなかったという奇跡のクルマのなかから、いま振り返っても独特だと思える5台をピックアップしてみたので、その魅力を簡単に振り返っておきたい(ATが普及する以前の時代のクルマについては、ピックアップの対象外としている)。

1)ホンダS2000

 ホンダ入魂のFRスポーツ。オープンボディの低重心とクローズドボディの高剛性を両立させたハイXボーンフレーム構造をはじめ、ほぼすべてが専用設計。シフトユニットをトランスミッションケースに直付けするダイレクトチェンジ形式を採用し、9000回転まで炸裂感が持続する脅威の神ユニットF20C(前期型)のパワーと官能性を味わい尽くせた。

 シフトフィールは日本車史上屈指の素晴らしさで、極上のエンジン/シフトフィールで名を馳せた横置きFFのタイプR(インテグラ/シビック)も、シフトフィールではS2000に一歩及ばず。S2000の元ネタである1995年の東京モーターショーに出展されたコンセプトモデル「SSM」はATだったが、市販版のS2000は10年の販売期間においてMTのみ。良い意味でMT好きを裏切った。目先の拡販のためにATを追加するようなこともなかった。

2)ダッジ・バイパー

 鋼管チューブラーフレームの車台に8~8.4リッターのV10エンジンを搭載する、クライスラーが本気で速さと強さを徹底追及したFRスポーツ。1991年に登場した初代モデルから23年間で3世代が販売され、エンジンパワーは初代の400馬力から最終的には650馬力近くまで向上。渋滞、および微低速域では車内が本気でサウナ化するほどの熱量をアイドリングから発揮する。そんな大排気量8リッター超えのエンジンもすごいが、それに負けないトランスミッションの存在感もまた強烈だ。

 初代モデルは男性でも華奢な人には扱いきれないほどに重いクラッチや、鉄パイプを振り回すようにして操作するシフトフィールも圧倒的だった。世代ごとにクルマとしての洗練度や扱いやすさを増し、6速MTも大改良が加え続けられたが、高年式車でも、一定以上の腕力がないと素早いシフト操作は不可能と思える硬派な手応えは失われず。


マリオ高野 MARIO TAKANO

SUBARU BRZ GT300公式応援団長(2013年~)

愛車
初代インプレッサWRX(新車から28年目)/先代インプレッサG4 1.6i 5速MT(新車から8年目)/新型BRZ Rグレード 6速MT
趣味
茶道(裏千家)、熱帯魚飼育(キャリア40年)、筋トレ(デッドリフトMAX200kg)
好きな有名人
長渕 剛 、清原和博

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