「TNGA」「SKYACTIV」「MQB」などの命名! クルマのプラットフォームが突如「日の目」を浴びるようになったワケ (1/2ページ)

欧州では車体剛性の重要性は当たり前のことだった

 今日では、プラットフォーム(車台)や車体構造にメーカー固有の名称を付けることが一般的になっている。その発端は、1995年のトヨタのGOAボディではないだろうか。

 90年代に入り、衝突安全への要求が高まった。それまで国内では前面衝突の安全を高める動きがあったが、ドイツのメルセデス・ベンツなどが、より実際の事故に近いオフセット衝突(車体前面の半分に障害物が衝突する)への対応が重要であるとの見解を示し、安全性向上もその路線に沿って進めるようになった。これを受け、国産車も前面衝突とオフセット衝突の両方に対応した車体構造を採り入れるようになりだした。

 その以前、車体剛性の重要性を国産車で最初に言い始めたのは、スバルの初代レガシィであった。高剛性車体が操縦安定性の向上に大きく貢献するとしたのである。

 一方、ほかの国内自動車メーカーは車体剛性について明確な訴求はなく、逆に、ダブルウイッシュボーンやマルチリンクサスペンションといったサスペンション形式に付加価値を与え、商品の売りにしていた。しかし、まず車体剛性が確かでなければ、いくらサスペンション形式を高度にしても操縦安定性は思ったほど上がらない。

 逆にスバルは、レガシィで一般の乗用車とかわらないストラットサスペンションを用いながら、車体剛性を高めたことで、その後の世界ラリー選手権(WRC)への参戦も含め、走行性能の高さを存分に知らしめたのであった。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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