モデル末期なのに販売絶好調! トヨタ・シエンタがホンダ・フリードをぶっちぎる理由 (2/2ページ)

タクシーで活用するため今後も増える可能性は高い

 トヨタには、シエンタベースとなる“JPNタクシー”がラインアップされているが、車両価格がそれまでのクラウンコンフォートに比べて100万円ほど高いとのこともあり、タクシー事業者のなか、とくに地方都市の事業者からは代替えなどでのJPNタクシー導入に慎重な姿勢を見える傾向が強かった。それ以前からも新車での車両入れ替えが厳しい事業者も多く、東京などで使われていたクラウンセダンやクラウンコンフォートの程度の良い中古車に入れ替えるケースも目立っていた。

 ある業界事情通氏によると「地方部だけではなく、JPNタクシーを積極導入していた、東京都内の大手タクシー事業者でも、シエンタタクシーの新規大量導入に切り替えたところもあります。いまは新型コロナウイルスの影響で車両の入れ替えを控える事業者も多いですが、今後落ち着いてくれば業界ではシエンタタクシーの新規導入がさらに目立ってきそうです」とのこと。

 JPNタクシーはLPガスハイブリッドエンジンを搭載しているのだが、シエンタにはLPガスに対応したエンジンすら設定はない。しかし、LPガスも燃料に使えるように改造(ガソリンとの併用/バイフューエル)してもJPNタクシーの車両代に比べればお釣りがくるともいわれている。

 また、地方部ではLPガススタンドの廃業が目立っており、さらに東京などの大都市部ほど走らないので、ハイブリッドならばガソリンを燃料として運行してもコスト的にもそれほど問題にはならないという話も聞いている。ましてや、いまは空前の原油安が続いているので、ガソリンエンジンということでのデメリットはさらに薄くなろうとしている。

 価格面だけでなく、JPNタクシーではユニバーサルデザイン導入とのことで、車いすでそのまま乗車することもできるが、乗車できるようにするスロープを設定する作業が煩雑なこともあり、車いすを使うひとに対し乗車拒否をする乗務員が目立ち、新たなタクシートラブルとなっている。そのため、「もともと対応していないシエンタなら、トラブルも回避できる」とし、シエンタタクシーを積極導入している事業者もいるようだと、前出事情通は話してくれた。

 さまざまな理由があるなか、タクシー事業者のハートをがっちりつかんだシエンタは、さらにフリードとの販売台数差を広げていくことになりそうである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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