登場するや否や大人気! 「売れすぎ」トヨタ新型ハリアーの数少ない「死角」とは (2/2ページ)

モデルによる走りの差が大きい!

 そう、走行性能面での死角があるとすれば、極悪路走行が想定できる。ダイナミックトルクベクタリングコントロールを持つRAV4アドベンチャーグレードや、Xモードを備え、最低地上高220mmを誇るフォレスター、遊び心やマリンスポーツに応える機能、装備満載のエクストレイルに敵わないところが挙げられる。とはいえ、新型ハリアーでもダートや雪道程度なら、クロスオーバーモデルならではの走破性を発揮してくれることはもちろんだ。

 実際にガソリン車のFF、19インチタイヤ装着車のZレザーパッケージ、HVのFF、19インチタイヤ装着車のZ、同 4WD、18インチタイヤ装着車のGに試乗した経験からすれば、そのなかに決定打と言えるモデルを見いだせなかったのも本当だ。ガソリン車のZレザーパッケージは乗り心地面ではサルーン的で素晴らしく快適で、軽快感たっぷりの操縦性を持つものの、高級車としてはエンジンの室内への透過音が気になり、HVのZは19インチタイヤによる乗り心地が硬すぎる印象で、新型ハリアーにトヨタの高級サルーン的乗り心地を過大に期待すると裏切られるかもしれない(タイトな乗り心地を好むならOK)。

 また、HVのGは専用開発ではない18インチタイヤのロードノイズが、粒の荒いアスファルト限定ながら、大きめに車内に侵入し、これまた、新型ハリアーの売りひとつとなる、車内のトヨタの高級サルーン的静粛性のレベルには達していない印象だった。ロードノイズの小ささでは、19インチが上まわるのである。

 つまり、HVとガソリン車、タイヤサイズ、駆動方式によって走行性能の印象が変わりやすい点も、気になる人は気になるウィークポイントになるかもしれない。もちろん、他車でもパワーユニット、駆動方式、タイヤサイズで乗り味の印象が異なることはあるのだが、その違いの幅がちょっぴり広いのが、新型ハリアーと言えそうだ。

 ちなみに、RAV4ではダッシュボード上面までソフトパッドを使用しているが、意外や意外、新型ハリアーのダッシュボード上面はカチカチの樹脂(シボフィルムは巻いてある)。そこは、RAV4と逆なのでは? と思えてしまったりする。エクステリアデザイン、インテリアデザイン、そして先進装備の面で、新型ハリアーが都会派クロスオーバーという土俵の上、ライトなアウトドアを含む日常使いでは、新しさを含め、商品力として圧倒有利なのは間違いない。が、もし、より本格的なSUV性能、使い勝手、走破性を望むなら、RAV4を始めとする、クロスカントリーモデルとしてのキャラクターを持つ他車を視野に入れるべきではある。

 個人的な勝手な見解だが、ロードノイズの小さい19インチタイヤ装着車を前提に考えると、FFに対して車重が60kg増しになり、19インチタイヤでも、新型ハリアーの狙い通りのしっとりとした乗り心地を生みそうな、装備的にも大満足必至のHVのZ 4WDグレードが大いに気になるところだ。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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