ライズがバカ売れの影で苦戦するC-HR! それでもトヨタがSUVラインアップを拡大し続けるワケ (1/2ページ)

5月からトヨタ全店が全車を扱う体制に移行する

 1990年には日本国内で778万台のクルマが販売されたが、2019年は520万台だった。約30年前の67%しか売れていない。この状況を受けて、大半のメーカーが販売系列を廃止した。トヨタは今後も系列を残すが、2020年5月からは全店が全車を扱う体制に移行する。

 このようにリストラが進む一方、ひとつのメーカーが同一のカテゴリーに複数の車種を用意することもある。トヨタは2016年にSUVのC-HRを投入して、2019年にはRAV4を復活させ、さらにライズも発売した。以前からランドクルーザー、同プラド、ハリアーも用意していたので、SUVの品ぞろえが急速に充実した。

 各車種の価格帯を見ると、コンパクトなライズの最上級グレードとC-HRのベーシックグレード、C-HRの最上級とRAV4のベーシックは、それぞれ重複している。つまりトヨタのSUV同士が競争することもあるだろう。

 ひとつのメーカーが同じカテゴリーに複数の車種を用意する背景には、いくつかの理由がある。まずSUVが日本国内と海外の両方で人気を得ていることだ。世界的に売れ行きが伸びているカテゴリーだから、新型車の投入も活発に行える。

 しかもSUVは、ひとつのカテゴリーに複数のタイプとサイズが存在する。C-HRやハリアーは前輪駆動をベースにしたシティ派SUVで、運転がしやすく乗り心地も快適だ。ランドクルーザーや同プラドは、後輪駆動をベースにしたオフロード派に含まれる。運転のしやすさ、乗り心地、居住性などはシティ派に劣るが、SUV本来の機能とされる悪路走破力は抜群に高い。

 そしてRAV4はメカニズム的には前輪駆動ベースのシティ派だが、4WDシステムが高機能で悪路走破力も相応に優れている。つまりシティ派とオフロード派の中間的な存在だ。外観もランドクルーザーなどに似て、野性的に仕上げた。ライズは前輪駆動ベースのコンパクトSUVだが、RAV4を小さくしたような中間的な雰囲気がある。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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